2011 Fiscal Year Annual Research Report
血液凝固制御因子レジスタンスを検出する新規検査法の開発
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22659114
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高木 明 名古屋大学, 医学部, 助教 (30135371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小嶋 哲人 名古屋大学, 医学部, 教授 (40161913)
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Keywords | 変異プロトロンビン / 制御因子抵抗性 / 血栓症リスク / 検査法開発 |
Research Abstract |
家族性血栓症患者家系より検出された変異型プロトロンビン(生理的な抗トロンビン・アンチトロンビンとの反応性が極めて低い変異トロンビンを形成する)を分子生物学的・細胞生物学的手法を用いて合成し、人工的に再構成した健常人血漿および患者血漿モデルおよび患者血漿を用いて検討・考案したトロンビン不活化動態解析法の評価を実施した。 健常人血漿および健常人血漿由来精製プロトロンビンを用いて、プロトロンビン活性化法の至適条件を検討設定した。トロンビン測定法は、高感度・高精密度が期待できる発色性合成基質を用いた比色分析法とし至適条件を検討設定し、両者を組み合わせてトロンビン不活化動態解析法を確立した。 ヒト肝臓由来cDNAライブラリーより野生型ヒトプロトロンビン全長cDNAをクローニングし、それを基に野生型および変異型プロトロンビンの発現ベクターを構築し、野生型および変異型プロトロンビン高発現HEK293細胞株を樹立した。至適ビタミンK(+)条件下で培養した後、ウシ胎児血清(-)培養液とし、培養液中に分泌される野生型および変異型リコンビナントプロトロンビンを回収した。免疫学的プロトロンビン除去健常人血漿に各リコンビナントプロトロンビンを添加して作成した再構成健常人血漿、再構成ホモおよびヘテロ患者血漿モデルを検体として用い、トロンビン不活化動態解析法を評価した。人工的再構成患者血漿モデルにおいてもトロンビン不活化不良を明確に検出することができた。 また、静脈血栓塞栓症患者がしばしば服用するビタミンK拮抗薬の影響を検討した。ビタミンK拮抗薬の影響を受ける多くの血液凝固検査と異なり、ビタミンK拮抗薬服用時においても相対的トロンビン不活化動態を測定することで、トロンビンのアンチトロンビン抵抗性を検出することができた。臨床検査法として実用化する上で有利と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規の静脈血栓塞栓症リスクと考えられる血液凝固因子レジスタンスを検出する新規検査法は開発できた。今回の開発の契機となった患者血漿および遺伝子工学的に再構成した患者血漿モデルにおいてアンチトロンビン抵抗性を高感度に検出可能であった。ビタミンK拮抗薬服用患者検体においても測定可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した血液凝固因子レジスタンス(アンチトロンビン抵抗性)検出法は、研究用の分析装置を用いて検討・開発した測定法である。一般病院の臨床検査室での臨床検査法としての実施を考慮して、測定系の臨床検査機器への最適化を検討する。 「アンチトロンビン抵抗性」は新規の静脈血栓塞栓症リスクと考えられるうえ、従来の血液凝固検査法では検出できない異常である。静脈血栓塞栓症発症の原因が同定できていない遺伝性の静脈血栓塞栓症患者血漿でのアンチトロンビン抵抗性を測定することにより、「アンチトロンビン抵抗性」の臨床的意義について検討する。
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