2011 Fiscal Year Annual Research Report
迅速遺伝子診断システムの開発とインフルエンザ亜型診断への応用
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22659118
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Research Institution | 財団法人東京都医学総合研究所 |
Principal Investigator |
内藤 暁宏 財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 研究員 (20332372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 陽 財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 研究員 (40546628)
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Keywords | 臨床検査システム / 遺伝子診断 / 新型インフルエンザ |
Research Abstract |
本研究課題は、独自の熱制御機構を持つ超高速リアルタイムPCR機を使い、全行程が30分以内に終了するポータブルな高病原性トリインフルエンザ迅速遺伝子診断法の開発を目的とし、本年度は以下について、検討を行った。 1.プライマーの再検討 再設計を重ね、一桁程度のウイルス粒子数でも検出可能となった。 2.臨床検体を用いた公定法との比較 次に、臨床現場において、イムノクロマト法による診断目的で採取され、診断後、保存された26検体を用いて、イムノクロマト法、超高速PCR法、公定法(CDC)にて比較検討を行った。イムノクロマト法と超高速PCR法の一致率は73%であった。今回、検討に用いたRNAはイムノクロマト法に用いた検体の余剰分から抽出しており、抽出までの過程で細胞残渣、鼻・咽頭粘液中のRNaseから保護されていないため、RNAが分解されている可能性が高く、一致率が低くなったと考えられた。 3.多検体への対応 サンプルをアプライするWellはCD様のサンプルディスク上に8Wellしかなく、亜型判定、変異、など多項目同時測定は不可能となる。多検体及び多項目同時測定に対応するため、ハンディ化に移行する前に、24Wellに対応するように機器の改良を進めた。しかし、外周と内周、3つのエリア間で同一標準検体を用いてもWell間の差が大きく、RNA量として4倍以上(Ct値で2以上)の差が生じることから、機器の精度の向上が必須であると判断した。 本法により、臨床検体から、RNA抽出を含め30分以内にインフルエンザ亜型の遺伝子診断が完了可能であることが示され、HPAI対策においても重要な役割を果たし得ることが示唆された。また、インフルエンザ診断以外にも感染症など緊急性を要する遺伝子診断法に応用可能であると考えられる得られた成果は、実用化への課題を浮き彫りにした一方、その可能性と意義を示した。
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