2010 Fiscal Year Annual Research Report
タバコ会社内部文書データベースを用いたタバコベクターの研究
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22659131
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
矢野 栄二 帝京大学, 医学部, 教授 (50114690)
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Keywords | タバコ / 基本和解合意 / タバコ会社内部文書 / 中国 / 日本たばこ産業 / 統合失調症 / アドボカシー / 許容濃度 |
Research Abstract |
喫煙は今日予防可能な最大の疾病原因と言われる。マラリア対策においてハマダラカの研究が不可欠なように、喫煙対策においてもベクターであるタバコ会社の研究が重要である。米国のタバコ訴訟の基本和解合意の結果として公開された数百万頁に及ぶタバコ会社の内部文書は、タバコ会社の分析を科学研究の1領域にすることを可能にした。データーベース化されたこの文書を検索解析することによるタバコベクターの研究は、すでに欧米から多数発表されているが、日本および中国ではその種の研究がほとんど行われていない。そこで同文書および関連情報の収集解析を行い、日本および中国のタバコ産業のタバコ販売促進のための活動と世界最大のタバコ消費国である中国タバコ市場の動向を分析した。その結果、日本たばこ産業(JT)が中国市場を重視し、タバコの輸出をはじめ、JTのブランド名を冠したスポーツイベントを行うことでブランドの浸透を図っていること、中国のタバコ会社との技術協力を模索していることなどを明らかにした。また日本の統合失調症患者の喫煙率が高くないという従来の研究結果に対して、より信頼性・妥当性の高い方法を用いて検証し、諸外国と同様喫煙率は高いことを明らかにし、論文化した。さらに、上記タバコ会社の内部文書データーベースのアーカイブを行っている、カリフォルニア大学サンフランシスコ校医学部図書館を訪問し、1998年から10年間という当初の公開期間が終了した後のデータ入手継続について調査した。 一方、これまでの研究成果を社会還元するため、タバコ煙の発がん物質としての認定勧告やタバコ対策の学会宣言、市民向け集会での発表、行政公聴会での意見陳述などの活動を行った。
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