2011 Fiscal Year Annual Research Report
タバコ会社内部文書データベースを用いたタバコベクターの研究
Project/Area Number |
22659131
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
矢野 栄二 帝京大学, 医学部, 教授 (50114690)
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Keywords | タバコ / 基本和解合意 / タバコ会社 / 中国 / 統合失調症 / 喫煙率 / ロシア |
Research Abstract |
喫煙は今日予防可能な最大の疾病原因と言われるが、喫煙対策において現在解明すべきことは、喫煙の医学生物学的な健康影響情報の追加よりも、喫煙を増やし広げていくメカニズムとその対策についての総合的な研究が重要となってきている。中でもタバコ会社の販売戦略の分析はそうした研究の中心となるが、米国のタバコ訴訟の基本和解合意の結果として公開された数百万頁に及ぶタバコ会社の内部文書は、タバコ会社の分析を科学研究の1領域にすることを可能にした。すでに欧米から箱のデータベースを用いた多数の研究発表がなされているが、日本および中国ではその種の研究がほとんど行われていない。そこで同文書および関連情報の収集解析を行い、日本および中国のタバコ産業のタバコ販売促進のための活動と世界最大のタバコ消費国である中国タバコ市場の動向を分析した。その結果、日本たばこ産業(JT)が中国市場を重視し、タバコの輸出をはじめ、スポーツイベントを利用したブランドの浸透策、中国のタバコ会社との技術協力計画などを明らかにした。また日本の統合失調症患者の喫煙率が高くないという従来の研究結果に対して、より信頼性妥当性の高い方法を用いて検証し、諸外国と同様喫煙率は高いことを明らかにした。 一方、これまでの研究成果を社会還元するため、タバコ煙の発がん物質としての認定勧告やタバコ対策の学会宣言、市民向け集会での発表、行政公聴会での意見陳述などの活動を行った。 当初の計画ではJTが急速にタバコ販売量を増やしている東欧、特にロシアでのJTのベクターとしての活動を解明分析する予定であったが、ロシア保健省、クラスノヤルスク医科大学との共同研究の調整が不調で、結局実現しなかった。しかし中国については上記データベース以外に中国のタバコ業界の情報を継続的に入手翻訳することが可能となり、引き続き分析を進めている。
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Research Products
(4 results)