2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22659137
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
木村 章彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (60136611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 稔和 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70251923)
石田 裕子 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10364077)
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Keywords | 体内時計 / 心肥大 / 心不全 / 腎炎 / 皮膚損傷 / 法医病理診断 |
Research Abstract |
種々の組織障害が体内時計に及ぼす影響を指標とする法医診断法を確立することが本研究の目的である。22年度においては、マウスの心肥大モデルの作製に多くの時間と労力を要したが、安定した結果が得られるモデルの作製に成功し、23年度は心肥大による体内時計の変調を解析することに成功した。大動脈弓部結紮モデルの病的心肥大を来した心臓における時計遺伝子の発現レベルは正常マウスのそれに比較して著しく減弱していることを明らかにした。更に、心肥大の影響は肝、腎にまで及び、これらの臓器においても時計遺伝子の発現は著しく減弱していた。しかし、これらの臓器における時計遺伝子発現の概日性振動は振幅がちいさいながら縮小していたが残存していた。また、cisplatinによる腎障害モデルにおいても腎における時計遺伝子の発現は著しく減弱し、心臓および肝においても時計遺伝子発現が減弱していた。本研究の当初の研究項目には記載していないが、皮膚損傷の診断も法医学の重要な課題であることから、皮膚組織における時計遺伝子の発現を解析して、皮膚組織においても腎、肝、心臓とほぼ同じ位相で強固な概日性振動をしていることを明らかにした。また、皮膚組織においてはautophagyも概日性に出現することを見出した。更に、皮膚の創傷部位における時計遺伝子の発現およびautophagyを解析した結果、創傷部位では時計遺伝子の発現レベルに変化を認めないが、autophagyが強く抑制されていることを明らかにした。以上の結果から、時計遺伝子の発現レベルは心臓から皮膚組織まで広く適用することが可能な新しい組織障害の指標と成り得ることが示された。これらの知見のヒト剖検試料への適用にはまだ至っていないが、本研究の当初の目的はほぼ達成できたものと考えている。
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Research Products
(4 results)