2010 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮に関与する自己抗体探索を通じて封入体筋炎(IBM)の病態を解明する
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22659167
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
糸山 泰人 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 病院, 院長 (30136428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 正志 東北大学, 医学系研究科, 教授 (70302148)
鈴木 直輝 東北大学, 病院, 医員 (70451599)
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Keywords | 封入体筋炎 / 筋萎縮 / 自己抗体 / プロテアソーム |
Research Abstract |
封入体筋炎(IBM)は原因不明で治療法が無く高齢化と共に増加している重要な疾患である。我々のこれまでの研究からIBMの病態は自己免疫・筋変性の両方の機序を持つと考えられる。プロテインアレイによる自己抗体探索と筋生検検体における蛋白および遺伝子発現解析から細胞を作成する。さらにはプロテアソーム欠損マウスの作成によりIBMの病態解明・治療法開発へと発展させる。自己免疫的機序の解明のためにプロテインアレイによってIBM患者血清におけるIgGの標的基質の同定を行う。同定した標的抗原候補に対する抗体の作製を行いin vitroの培養系における封入体形成の再現が可能か検討する。病態が異なると考えられる炎症性筋疾患の多発筋炎(PM)と比較しつつ筋生検組織からの遺伝子発現データ・蛋白発現データを補完する事により、IBMの筋変性過程における筋萎縮系を含めた免疫応答・筋変性過程を包括的に明らかにする。 平成22年度はIBM患者および疾患コントロール各5例から血清を採取、IgGを精製し、9000種以上の蛋白が固相化されているプロテインアレイに反応させ"reverse capture"autoantibody microarray (Nat.Protocol 2006)によって自己抗体候補を見出した。IBM患者血清からはユビキチンプロテアソーム系に関係する分子や機能未知な分子に対するIgGが特定された。これらの自己抗体候補分子に関してELISA法による確認を行おうとしている。免疫沈降を用いた方法についても模索中である。 一方候補抗原の一つであるpsmc4/Rpt3に関してはCre-loxp systemを用いて骨格筋特異的に欠損させたマウスを作成し、筋萎縮・筋線維内の封入体形成を確認しえた。IBMの病態解明の一助となると考えている。
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