2010 Fiscal Year Annual Research Report
PTH関連蛋白の恒常的発現の分子基盤-核内受容体、ヘッジホッグ、ERBB2
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22659179
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
岡崎 具樹 帝京大学, 医学部, 教授 (60203973)
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Keywords | 核内受容体 / PTH関連ペプチド(PTHrP) / 乳癌 / ERBB2 / 前立腺癌 |
Research Abstract |
1) 各ホルモン(E2、DHT、デキサメサゾン、プロゲステロン(R5020)、活性型ビタミンD3)によってMCF-7ヒト乳癌細胞における、いくつかのの遺伝子発現の量的変動を、リアルタイムRT-PCR法を用いて検討した。各ホルモン投与1、2、4、8、12、18、24、36、48時間後の検討の結果、ERBB2(Her2)とIGFBP5遺伝子が、時間経過はPTHrPに比して4-8時間遅れるものの、PTHrP遺伝子発現と同様の割合(50%以下)で、上述のすべてのホルモンによってその発現が抑制された。 2) MCF-7細胞においては、各核内受容体のSiRNA細胞内導入実験から、DHT以外の各ホルモンと各核内受容体には1:1の対応関係があった。すなわち我々の見ている現象は、各ホルモンに対応するそれぞれの核内受容体を介するPTHrP遺伝子発現抑制であることが確認できた。ところがSiARの導入でMCF-7細胞内のARの発現を30%以下に抑えても、またアンドロゲンのいくつかのアンタゴニスト投与によっても、DHTによるPTHrP遺伝子発現抑制は不変であった。その一方、ERαのSiRNAの細胞内導入や、エストロゲンアンタゴニスト(4-OHタモキシフェンやICI 182,780)の投与によって、エストロゲンばかりでなくDHTのPTHrP遺伝子発現抑制もほぼ完全に解除された。つまりアンドロゲンのPTHrP遺伝子発現抑制作用のみは、本来のARではなくERαを介して行われることが強く示唆された。 3) ChIP(クロマチン免疫沈降)法により、各ホルモン受容体がホルモン投与後一定の時間を経て、PTHrP遺伝子上流の一定の領域に動員され、またその部のヒストン4のアセチル化が同時に起こることが確認された。 4) HDAC阻害薬投与で各ホルモンによる転写抑制は解除された。 5) MCF-7細胞と同様にPTHrP遺伝子と各核内受容体を発現している(ERαは、ほとんど発現していないがERβはMCF-7と同等、またPRの発現はRT-PCRでは確認できる)LNCaPヒト前立腺癌細胞でも各核内受容体を介するPTHrP遺伝子の発現が確認された。
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