2011 Fiscal Year Annual Research Report
4倍体胚補完法による白血病原因遺伝子のon,off可能なマウスの作製と解析
Project/Area Number |
22659180
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
松村 到 近畿大学, 医学部, 教授 (00294083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芦田 隆司 近畿大学, 医学部附属病院, 准教授 (30211006)
辰巳 陽一 近畿大学, 医学部附属病院, 准教授 (60236552)
嶋田 高広 近畿大学, 医学部, 講師 (90319674)
田中 宏和 近畿大学, 医学部, 講師 (40360846)
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Keywords | 4倍体胚補完法 / 白血病原因遺伝子 / トランスジェニックマウス / Tet-offシステム / ES細胞 |
Research Abstract |
本研究において4倍体胚補完法を用いでて慢性骨髄性白血病(CML)の原因遺伝子であるBCR-ABLをTet-offシステムにてon,off(Tetracycline服用時にはBCR-ABL off、Tetracycline非服用時にはBCR-ABL on)可能なマウスを作成した。本マウスにおいて、Tet-offすると約1ヶ月後に骨髄および末梢血において顆粒球系細胞を主体とするCML様の病態が再現された。また、Tet-offによって発症したCML様の病態は、Tet-onによってBCR-ABLをoffにすることで消失した。また、Tet-offによって発症したCML様の病態は、BCR-ABL阻害薬Imatinbの投与によってほぼ正常化し、本マウスがCMLモデルとなることが明らかとなった。Tet-offする前、Tet-offによってCMLを発症した時期、再度Tet-onにて造血が正常化した時期、それぞれの造血幹細胞分画を用いて、骨髄系腫瘍全般で明らかにされているTet2、IDH1/2、EZH2、ASXL1の遺伝子変異の有無を検討したが、すくなくともcodingregionには遺伝子変異は認められなかった。一方、これらの細胞を用いたメチル化領域の網羅的解析の結果、Tet-off 2ヶ月後の造血幹細胞分画では正常造血幹細胞分画と比較してメチル化のプロファイルが異なることが明らかとなった。再度、Tet-onによって正常造血に戻した2ヶ月時点ではメチル化プロファイルの異常は持続したが、6ヶ月時点ではほぼ正常と変わらぬメチル化プロファイルとなった。また、メチル化プロファイルが正常化するまでの間、血液細胞に軽度の異形成は認められたが、明らかな数的異常は認められなかった。これらの結果は、遺伝子変異とエピゲネティクな異常との関係を明らかにする上で、極めて有用と考えられた。
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