2011 Fiscal Year Annual Research Report
中心体成熟プロセスを標的とする骨髄異形成症候群の治療法開発に向けた探索的検討
Project/Area Number |
22659181
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
稲葉 俊哉 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (60281292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 啓隆 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (60379849)
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Keywords | MDS / エピゲノム制御 / 骨髄性白血病 / 7番染色体欠損 / 発がん抑制遺伝子 / 遺伝子欠損マウス / エンドソーム代謝 |
Research Abstract |
本研究計画の目的は、RAEBなど病期の進行したMDSでほぼ全例に認められ、疾患の進行に深く関与する分裂像や核形態の異常をもたらす遺伝子異常をリストアップし、そのメカニズムを解明することである。われわれはMDSで高頻度に欠失する7番染色体長腕(7q)より単離した、LOC253012=MikiやCG-NAPが分裂期中心体に局在し、間期にはゴルジ体に、分裂期には中心体や紡錘糸に局在し、分裂期に必要な傍中心体物質(PCM)を中心体に輸送するシステムのメンバーであることを解明してきた。MikiやCG-NAPの発現抑制は、前中期中心体の不明瞭化と紡錘糸張力低下の結果、染色体が赤道面に整列せず、染色体散乱(コルヒチンミトーゼ)などの顕著な染色体整列異常が生じた。このため、分裂細胞は中期に入れずに遅滞し、染色体早期脱凝集現象を生じて、二核・多核・小核細胞などMDSに特徴的な形態異常を生じた。一方、分裂中期の中心体機能を維持する蛋白質としてdynactin-3を同定した。本蛋白質はp150^Gluedやdynamitinと複合体を形成し、分子モーターとして機能することが知られていたが、われわれの研究結果はdynactin-3が中期中心体に単独で存在し、その機能維持を司ることを示唆するものであり、その発現低下によってMiki/CG-NAPとは異なる機序による分裂異常をもたらす。今年度は、成果のまとめとして、dynactin-3に関する知見をJ.Biol.Chemに掲載した。また、Mikiに関する成果を、別の雑誌に投稿し、好意的な査読意見を得て、現在レバイス中である。
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