2010 Fiscal Year Annual Research Report
筋症状のない皮膚筋炎における新規抗IFIH1/MDA5抗体の臨床的・病因的意義
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22659185
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三森 経世 京都大学, 医学研究科, 教授 (10157589)
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Keywords | IFIH1 / MDA5 / 自己抗体 / 皮膚筋炎 / 間質性肺炎 / ADM |
Research Abstract |
「筋症状のない」皮膚筋炎(ADM)は、特徴的な皮疹を認めるにもかかわらず筋症状を認めない筋炎の亜型であるが、わが国では致死的な急速進行性間質性肺炎を合併しやすく生命予後が悪いことが報告されてきた。近年ADM患者血清に新たな特異的自己抗体(抗CADM-140抗体)が発見され、生命予後の悪いADM間質性肺炎の早期診断、病因・病態解明と新たな治療戦略への可能性を秘めている。同抗体の対応抗原を解明し、その臨床的・病因的意義を検討した。 1. 抗CADM-140抗体の対応抗原の同定:アフィニティーカラム精製抗原のペプチドマスフィンガープリント法によって、抗CADM-140抗体が認識する対応抗原が、RNAウイルス感染を感知しインターフェロン産生を誘導するIFIH1またはMDA5として知られる細胞内分子であることをつきとめた。 2. リコンビナント蛋白を用いた抗CADM-140抗体検出法の開発:IFIH1/MDAS分子をコードする全長cDNAを分離し、発現ベクターに組み込んで大腸菌に発現させ、組み換え蛋白を精製、ELISAプレートに固相化し、抗CADM-140 (IFIH1/MDA5)抗体を検出するための定量的固相化酵素抗体法(ELISA)を作成した。予備的研究では抗CADM-140抗体陽性血清での高い特異性を確認している。 3. 抗CADM-140抗体が認識する自己抗原エピトープの同定:IFIH1/MDA5-cDNAをN末端側とC末端側に2分し、それぞれを発現ベクターに組み込んだ。抗CADM-140抗体陽性の4血清は、免疫沈降法によりこれらから発現させたN末側・C末側の両者と反応し、複数の抗原エピトープを持つことが示された。 4. 抗CADM-140抗体陽性患者の血清中サイトカインプロフィールの検討:抗CADM-140抗体陽性血清中の種々のサイトカインを測定したところ、抗体陰性皮膚筋炎血清に比してIL-6、IL-8、IL-10が有意に高く、IL-12p70とIL-22が有意に低いことが示された。TNF-α、IFN-β、IL-1β、IFN-γには有意差が見られなかった。同抗体陽性患者では病初期から血清フェリチンが高いことを見出しており、サイトカイン以上によるマクロファージ活性化が示唆された。
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Research Products
(5 results)