2011 Fiscal Year Annual Research Report
CD1・脂質免疫応答に着目した、エイズワクチン開発の新戦略
Project/Area Number |
22659188
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉田 昌彦 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80333532)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 樹彦 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (90467431)
|
Keywords | 感染症防御学 / リポペプチド / エイズ / ワクチン |
Research Abstract |
サル免疫不全ウイルスが産生するNefタンパク質は、そのN末端にミリスチン酸付加を受けることにより、免疫抑制機能を発揮する。前年度までの研究から、ミリスチン酸付加を受けたN末端Nef5残基ペプチドを特異的に認識するアカゲザルT細胞株の存在が明らかとなっていたので、この抗原や類縁アナログ抗原を作製して、感染個体内での特異的T細胞応答について検証を行った。サル免疫不全ウイルス感染アカゲザル計6頭より経時的に末梢血を採取し、種々の抗原存在下でインターフェロンガンマエリスポット法を行ったところ、感染早期(2~3週)にはミリスチン酸付加Gagペプチドに対する低レベルのT細胞応答を検出した。一方、感染中期以降(5週以降)においては、ミリスチン酸付加Nef5-merペプチドあるいはミリスチン酸付加Nef6-merペプチドに対する優位なT細胞応答を認めた。これまでのT細胞株の解析では、ミリスチン酸付加Nef6-merペプチドに対する応答は想定されなかったが、感染個体内においてはミリスチン酸付加Nef6-merペプチドに対する応答が最も強いことが判明した。同時にパーフォリンを検出するエリスポット法を行ったが、感度に問題があり、結論を得るには至らなかったが、T細胞株がパーフォリンを産生することを確認した。ミリスチン酸付加Nef6-merペプチドを特異的に認識してインターフェロンガンマを産生するT細胞の数と、血清ウイルス価の間には、有意な逆相関を認めた。以上の結果をもとに、ミリスチン酸付加Nef6-merペウチドをエイズワクチン候補として検討することを考え、大量合成を完了した。
|