2010 Fiscal Year Annual Research Report
小児後天性骨髄不全症候群におけるエピジェネティック情報に基づく新規分類の開発
Project/Area Number |
22659193
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小島 勢二 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (20313992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 義行 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (40432273)
村松 秀城 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00572570)
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Keywords | 再生不良性貧血 / エピジエネティクス / 骨髄異形性症候群 / パイロシークエンス法 |
Research Abstract |
小児後天性骨髄不全症候群には、再生不良性貧血(AA)や低形成骨髄異形性症候群(MDS)が含まれるが両疾患の鑑別は容易ではない。これまで、両疾患の鑑別は、骨髄塗抹標本や生検標本の形態学に基づいた診断を基本に、染色体分析等の結果を踏まえて行われてきたが、血液専門医間でも診断の一致率は低い。低形成MDS患者においては、一部の遺伝子プロモーター領域のメチル化が観察され、脱メチル化薬の有効性が報告されている。本研究の目的は、最近開発されたメチル化アレイ法を用いて、AAと低形成MDSとの鑑別に有用な遺伝子群の候補を同定することにある。本研究は既存の方法では鑑別困難であった両疾患について、遺伝子のプロモーター領域のメチル化をマーカーに再分類を試みるものであり、さらに脱メチル化薬やHDAC阻害剤による新規治療法が有効な患者群の同定も期待しうる。 平成22年度中に、我々は末梢血・骨髄塗抹標本および病理標本の形態診断によりAAおよびMDSと判断された症例約50例のgenomic DNAを抽出し、バイサルファイト処理およびwhole genonle DNA増幅を行った。現在までに、10種類以上の遺伝子プロモーター領域において、パイロシークエンス法によるメチル化解析を終了した。次年度は、症例数および解析する遺伝子プロモーター領域数を増やし、遺伝子発現レベル・臨床情報との関連についても併せて統計解析を行う計画である。 また、当初の目標であるAAとMDSの分子学的手法を用いた客観的な鑑別診断の実現に向けて、免疫染色、マイクロダイセクション、遺伝子シークエンスを組み合わせた手法を用い、小児AA・MDS症例の微小なmalignant cloneの存在の有無による鑑別方法を並行して現在開発中である。
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