2010 Fiscal Year Annual Research Report
母体内環境の胎児脳の発達に与える影響の評価システムの開発
Project/Area Number |
22659199
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 富士夫 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 教授 (20089882)
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Keywords | 胎児医学 / in vivoイメージング / FRET / 電位センサー / Ca^<2+>センサー |
Research Abstract |
近年注目を集めている発達障害は社会的に大きな問題であるにも拘らず、その発症機序には未解明の部分が多い。原因としては遺伝的素因のほか、胎児に直接加わる外的な負荷もある。しかし後者に関しては胎児脳の機能発達を評価する適切な方法がないため、その重要性に関する知見が乏しい。本研究では我々が最近開発したげっ歯類の母体外胎仔標本を用いて脳の神経回路の機能的発達を評価することでこの問題に迫る。すなわち、母マウスと臍帯でつながった状態で摘出した胎仔を用いて、光、音、体性感覚刺激に対する反応を記録することにより、感覚入力への反応性の発達を、また、脳の刺激で生ずる体の動きから出力系の成熟を評価する。その後胎生期に胎仔に与えた感覚刺激の脳の機能的発達への影響を成熟後に行動解析等により検討する。 本年度は、これまでに申請者らが神経細胞の移動の研究のために開発をしてきた摘出胎仔標本に改良を加えて用いた。すなわち、胎生15-16日目付近のマウス胎仔を、麻酔を施した母マウスの横腹を切開することで取り出し、臍帯を介する母体との結合を保ったまま、特殊な固定器具を用いて胎仔を固定した。その後頭部の皮膚を切開して、観察に供した。予め子宮内穿孔法で標識をしておいた、大脳皮質介在ニューロンの移動の記録を試み、長時間に亘って安定に記録することに成功した。記録できた介在ニューロンは大脳皮質辺縁層接線面において全方向に移動していることを確認することができた。これはこれまでの我々のin vitroの実験の結果と一致するものである。
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Research Products
(2 results)