2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規表皮水疱症モデルマウスに対する骨髄移植療法の試み
Project/Area Number |
22659202
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
清水 宏 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00146672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 理一郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (60344511)
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Keywords | 表皮水疱症 / VII型コラーゲン / 造血幹細胞移植 / 骨髄由来幹細胞 / transdifferentiation |
Research Abstract |
本研究の目的は,申請者らが最近作成に成功した表皮水疱症のモデルマウスに有用な根本的治療法として,骨髄由来細胞の臨床治療の有用性について検討するものである.表皮水疱症は皮膚の中でも真皮一表皮境界部を構成する種々の蛋白の先天的欠損ないし構造異常により同部位の脆弱性を生じ、機械的刺激等によって容易に水庖・びらんおよび潰瘍を形成する疾患である。申請者らは,新規治療法開発を目的として,栄養障害型表皮水疱症モデルマウスとして異常ヒトVII型コラーゲン発現マウス(以下hCOL7-RDEBマウスと記す)を作成した(Ito K, et al., Am J Pathol, 2009)。当該年度に於いては,hCOL7-RDEBマウス,およびその繁殖過程で出生したCOL7ノックアウトマウス数匹に対して,GFPマウスをドナーとする骨髄移植を施行した。ドナー由来細胞は80-90%以上生着していることを末梢血フローサイトメトリーで確認した。びらん上皮化部位の皮膚を採取して検討したところ,real-Time RT-PCR,半定量RT-PCRおよび免疫染色にて,一部にCOL7が発現していることを確認した。また,微細構造観察にて移植後皮膚においても係留線維(COL7)の増強と捉えられる所見が観察された。長期生存予後に関しては今後検討する予定であるが,前処置に関連すると推測される移植関連死もみられるため,移植プロトコールの改善も今後の検討課題となる。しかしながら,COL7の明らかな発現が観察されたことにより,本研究の成果が重症表皮水疱症に対する根本的かつ全身性に作用する治療法となり得ることを明らかにできた。難治性皮膚疾患への新たな治療戦略を立てる上で重要な知見が得られたものと考える。
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Research Products
(3 results)