2010 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス誘発上皮性腫瘍を許容する生体内微小環境とその制御
Project/Area Number |
22659205
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岩月 啓氏 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80126797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 裕美 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (90291393)
白藤 宜紀 岡山大学, 岡山大学病院, 助教 (90423285)
藤井 一恭 岡山大学, 岡山大学病院, 助教 (70452571)
森実 真 岡山大学, 岡山大学病院, 助教 (80423333)
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Keywords | ウイルス / 乳頭腫 / 腫瘍免疫 / 樹状細胞 / ケモカイン / 免疫微小環境 / 接着因子 / リモデリング |
Research Abstract |
特異的腫瘍免疫療法の臨床応用には克服すべき多数の課題があるが、中でも腫瘍細胞の免疫回避機序は最大の問題である。我々はウイルス性疣贅や伝染性軟属腫をモデルにして、宿主免疫回避機序の解明に取り組んできた。 1.疣贅病変部の細胞生物学的微小環境の解析:HPV病変部では、表皮樹状細胞の遊走と表皮内分布に異常があることを見出し、同時にMIP-3a発現異常を示唆するデータを得た。炎症に伴い種々の樹状細胞の再出現が見られた(JDS投稿中)。伝染性軟属腫においても病変内樹状細胞の減少がみられ、MIP-3aの発現低下を認め、その他のケモカイン発現が低下していた(論文準備中)。さらに、化学療法後、長期間を経て多発性汗孔腫症が出現すること(投稿中)、免疫抑制状態における汗孔角化症におけるHPVの関与を見出した(論文準備中)。 2.宿主免疫応答の解析:HPV感染良性病変(疣贅)と悪性上皮腫瘍(HPV-Bowen病)では、炎症反応の主体となる細胞群が異なることを見出した。良性病変では細胞傷害性T細胞浸潤が強いが、悪性病変では炎症反応にはB細胞、形質細胞浸潤がみられた。この現象は、HPVの表皮細胞内における感染様式(episomeかintegrationか)により、TSLPの発現を介して、Th1/Th2/Th17系の免疫応答の質的変化を起こすと考え研究を進めている。 3.表皮リモデリングとしての乳頭腫:疣贅では組織構築にかかわるE-cadherinの発現が不規則で、減弱していることを見出した(論文投稿中)。本年度は、細胞接着に関わるβ-cateninやp120ctnによる細胞内シグナルが乳頭腫形成に関与するとの仮説のもと研究を進める。
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