2011 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス誘発上皮性腫瘍を許容する生体内微小環境とその制御
Project/Area Number |
22659205
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岩月 啓氏 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80126797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 裕美 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (90291393)
白藤 宜紀 岡山大学, 岡山大学病院, 助教 (90423285)
藤井 一恭 岡山大学, 岡山大学病院, 助教 (70452571)
森実 真 岡山大学, 岡山大学病院, 助教 (80423333)
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Keywords | ヒト乳頭腫ウイルス / 伝染性軟属腫ウイルス / 樹状細胞 / Bowen病 / 日光角化症 / TSLP / Th2 / リモデリング |
Research Abstract |
疣贅の細胞生物学的微小環算解析:ウイルス性疣贅(炎症性と非炎症性)、伝染性軟属腫、Bowen病、種々の上皮系腫瘍における樹状細胞(DC)サブセットとアポトーシスを解析した。ウイルス性疣贅および伝染性軟属腫病変部ではLangerin+DC(LC)数は欠落ないし著減していた(J Dermatol Sci2011)。In situ hybridizationとRT-qPCR法では、疣贅および伝染性軟属腫上皮のMIP-3α発現が低下し、E-cadherin分子は発現低下と不規則な分布がみられた。伝染性軟属腫では、MCVがコードする免疫制御因子であるMCV148とMCV159の発現が認められた(論文準備中)。一方、炎症性疣贅では真皮浸潤細胞に種々のDCサブセットが浸潤していた。炎症反応は、多くのCD8+細胞傷害性T細胞(CTL)と少数のCD4+T細胞、B細胞がみられた。しかし、Bowen病の炎症反応には、B細胞と形質細胞浸潤が多く、疣贅における炎症反応とは質的に異なる細胞浸潤を示した。すなわち、疣贅と伝染性軟属腫においては、LC/DCが病変部に欠落し宿主免疫応答を回避するが、炎症誘導には種々のLC/DCの浸潤とCTL浸潤(Th1/Th17環境)が認められ、悪性化したBowen病ではTh2環境の免疫応答が誘導されると考えられた。 表皮リモデリングとしての乳頭腫:疣贅、Bowenと他の上皮系腫瘍について、1)Th2免疫応答誘導の候補分子としてTSLPを炎症反応と比較,2)表皮増殖・構築にかかわるE-cadherin、MCM2、MIB1発現、3)化学療法によるリモデリング、4)発がんにかかわるHPV遺伝子のintegration箇所とepisomal DNAを解析した。miRNAarray 解析は検討中。TSLPの発現は、ウイルス性疣贅で比較的高発現であり、苔癬型反応を欠きB細胞・形質細胞浸潤の多い日光角化症やBowen病では、苔癬型反応を示す病変に比べてTSLP発現が強く認められ、免疫学的リモデリングが示唆された(論文準備中)。乳頭腫性増殖の解析には細胞増殖活性の三次元的解析が必要となり、今後の検討課題である。
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Research Products
(11 results)