2010 Fiscal Year Annual Research Report
安定同位体を用いた呼気ガス検査とビオプテリンの精神疾患における有用性の検討
Project/Area Number |
22659215
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
功刀 浩 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所疾病研究第三部, 部長 (40234471)
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Keywords | 脳・神経 / 脳神経疾患 / 神経科学 / 薬学 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
本研究は、安定同位体^<13>Cを用いて生体内のモノアミン産生量を推定し、気分障害や統合失調症の診断指標/バイオマーカーとしての有用性を検討することを第一の目的とする。また、モノアミン生合成において重要な補酵素として働くテトラヒドロビオプテリン(BH4)の診断や治療への応用の可能性について検討することを第二の目的とする。 H22年度は^<13>C-トリプトファンを用いた検査(セロトニン生合成の指標)の有用性について検討する予定であったが、トリプトファンによる検討はコスト面で難点があったため、^<13>C-フェニルアラニン(ドーパミン、ノルアドレナリンの指標)を用いた検査に予定を変更して行った。平成22年度は、統合失調症24名、うつ病24名、双極性障害5名と健常者42名の結果を得た。統合失調症と健常者の比較を21年度までに行っていた結果と合わせると、統合失調症患者(91名)の呼気ガス中の^<13>CO_2排出量は健常者(158名)に比較して有意に低下していた(p<0.001)。また、統合失調症患者のBH4濃度は健常者に比較して有意に低下していた(p<0.001)。次に統合失調症患者へのBH4投与が、呼気検査に及ぼす影響を調べたが、10mgのBH4(午前7時)は午前10時の呼気検査に影響を与えなかったことから(p=0.90)、より高用量のBH4投与が必要と考えられた。 動物実験により、脳内カテコラミンの変化が呼気ガスに及ぼす影響を検討した。ラットにドーパミン産生を促す薬物を投与し、呼気中の^<13>CO_2量をしたところ、AUCはコントロール群に比較して著明に上昇していた。以上から、呼気ガス検査は統合失調症やカテコラミンのバイオマーカーとなる可能性が支持された。
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