2010 Fiscal Year Annual Research Report
分子標的内照射治療における戦略的治療薬剤創製基盤の開発
Project/Area Number |
22659219
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
清野 泰 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 准教授 (50305603)
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Keywords | オージェ電子 / 内照射治療 / 癌 / 分子標的 / 分子イメージング |
Research Abstract |
本研究は、神経内分泌腫瘍をモデル腫瘍とし、核、細胞実質、細胞膜の異なる3カ所を標的部位とするオージェ電子放出内照射治療薬剤を作製し、これらの薬剤の殺細胞効果を3種類の神経内分泌腫瘍細胞の2次元培養及び3次元培養系で評価する。さらにこれらの腫瘍細胞を移植した担癌マウスに薬剤を投与し、生体内での効果を検討し、最も効果的な標的部位を探索する。同時に、各標的部位ごとに殺細胞効果の作用機序の検討を遺伝子及びタンパク質レベルで解析し、マウスを用いた検討では、副作用の有無についての検討を行う。 本年度は、核酸及び細胞膜を標的とする放射性臭素標識内照射薬剤を開発し、その内照射治療効果を細胞実験にて検討した。その結果、核酸標的内照射治療薬剤は、DNA画分に取り込まれ、細胞増殖を抑制していることを明らかとした。また増殖抑制されている細胞においては、アポトーシスが誘導されていることから、DNA損傷によりアポトーシスが誘導され、このことが細胞増殖抑制の原因となっていることが示唆された。細胞膜標的内照射薬剤の検討においては、核酸標的薬剤で効果のあった放射能量では、内照射効果は認められなかった。さらに細胞実質を標的とする内照射治療薬として放射性銅64標識ATSMを用いた検討を行った。その結果、^<64>Cu-ATSMは腫瘍を退縮させることお旨よび腫瘍の転移能を低下させることが示された。 本年度の検討より、内照射治療の標的部位により、その内照射治療効果が異なることが示された。
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