2011 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞冬眠誘導を用いた転移性肝癌に対する治療法の開発
Project/Area Number |
22659241
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
片寄 友 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (20302151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 圭 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (20542294)
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Keywords | 転移性肝癌 / 肝細胞癌 |
Research Abstract |
転移性肝癌の治療は外科的切除が第1と考えられ、切除の可能性を探り術前化学療法を積極的に取り入れている。われわれもBevacitumabを用いたネオアジュバント療法を積極的に施行している。しかし強力な化学療法を行えば脂肪肝やblue liverなど副作用により治療困難になる場合が増えている。そこで、正常細胞に冬眠状態に誘導することにより細胞静止状態となり、正常細胞が各種抗癌剤耐性となることと、冬眠誘導されない癌細胞が特異的に抗腫瘍効果を誘導できるという考えのもと、転移性肝癌に対する新規治療を開発することを目的とした。 上記の抗癌剤耐性と細胞静止状態はCancer stem cellと似たような性質であり、胆道癌の細胞株TFK-1、HuCCT1用いて、Cancer stem cellのマーカーを用いて解析することとした。 結果:胆道癌細胞株について表面マーカー(CD133,CD44,EpCAM)を用いて検討. 陽性細胞率が高かった細胞株HuCCT1(CD133陽性率45~60%)、CD133陽性率が低いTFK1(1~2%)をCD133陽性・陰性分画に分離し免疫不全マウスに皮下移植した。各種抗体の単染色および二重染色で、陽性・陰性分画を比較し、HuCCT1で特にCD133陽性分画の腫瘍増殖能力が高かった。 TFK1では、CD133陽性・陰性分画で比較するも腫瘍形成能に有意差を認めることができなかったが、CD133陽性分画のほうが腫瘍増殖能力・形成能力が高い可能性がある。 移植後腫瘍をFACSで解析し、CD133陽性分画は移植前と同程度であった。また、CD133陽性・陰性分画で比較すると、増殖能・薬剤耐性能に差は認められなかった。 以上により、CD133はCancer stem cellと似たような性質であることがわかり、冬眠、細胞静止状態のマーカーとなることが示唆された。
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