2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22659245
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
調 憲 九州大学, 大学病院, 講師 (70264025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前原 喜彦 九州大学, 医学研究院, 教授 (80165662)
武冨 紹信 九州大学, 大学病院, 講師 (70363364)
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Keywords | 肝再生 / オートファジー / ATP / 肝細胞癌 / 肝切除術 |
Research Abstract |
平成22年度は当初の計画通りに、初代培養系のマウス肝細胞を用いて、1.HGF刺激下のオートファジーの動態を評価するとともに、2.オートファジー抑制条件下での細胞周期を検討した。さらに、3.オートファジー抑制条件下での肝組織中のATPの変動を評価した。 1.マウス肝細胞は、HGF 10ng/mLの刺激によって、蛍光免疫染色で細胞内にdot状のオートファゴソームの出現を多数認めるとともに、電子顕微鏡でも二重膜をもつオートファジーの出現を確認し得た。ウエスタンブロットでは、Cyclin Dの強発現を認めるとともにオートファジーのマーカーであるLC3 (form2)の強発現を認めた。以上より、HGF刺激によって肝細胞内にオートファジーが誘導されることが示唆された。 2.肝細胞内のオートファジーはAtg4B mutantのレンチウイルスベクターを用いてdominant negativeに抑制させた。HGF刺激下の肝細胞においてオートファジーを抑制させると、ウエスタンブロットでCyclin Dの発現低下を認めるとともに、フローサイトメトリーによる細胞周期の評価ではS期及びG2/M期の低下を認めた。以上より、肝細胞内のオートファジーは細胞周期に関与することが示唆された。 3.マウス肝切除後のオートファジーの抑制剤としては3-methyladenine (3MA)とChloloquine (CQ)を用いた。70%肝切除モデルにおいて、オートファジーを抑制すると術後18時間~術後24時間目の肝組織中ATP貯蓄が有意に低下した。以上より、肝細胞内のオートファジーはエネルギー産生(ATP)に関与することが示唆された。 上記1~3までを検討すると、HGF刺激下の肝細胞においてオートファジーはエネルギー産生を通して細胞増殖を促進させることが推測された。これは、平成21年度まで検討した結果(オートファジーを抑制すると肝再生率が低下する)ことを裏付ける結果となった。平成23年度以後は、エネルギー産生の主役であるミトコンドリアとオートファジーの関与について詳細に検討していく予定である。
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