2010 Fiscal Year Annual Research Report
磁気共鳴現象を用いた体深部埋込機器へのエネルギー・情報伝送
Project/Area Number |
22659249
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井街 宏 東京大学, 大学院・医学系研究科, 名誉教授 (10010076)
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Keywords | 心臓大血管外科学 / エネルギー伝送 / 情報伝送 |
Research Abstract |
本研究は、ケーブルやコネクターを一切必要としない、究極の完全体内埋込型補助人工心臓の完成を目指して、新たな原理を用いて胸腔内や腹腔内など体深部に埋込まれた補助人工心臓に対して直接エネルギー供給を行うと共に、情報伝送を行う装置の開発を目的とする。平成22年度は磁気共鳴現象用コイルの小型化、伝送信号用回路の開発、磁気共鳴現象によるエネルギー伝送のin vitro試験を行った。磁気共鳴現象用のコイルは高周波での駆動を行うため、配線による表皮効果が問題となる。そこで、巻き線自体にリッツワイヤを用いることで、表皮面積の拡大を行い、コイル巻き線の銅損の低減を図った。現在までに、エポキシ樹脂モールド後に直径7cm以下、厚み1cm以下となるコイルが完成し、コイルそのものは生体への埋め込みに耐えうるものが完成した。伝送信号用回路の開発は送信機と受信機の開発からなる。送信機はエネルギー変換効率の向上を狙ってMOSFETをHブリッジ型に構成し、スイッチング回路で高周波を発生することとした。 現在までに数MHzまでの帯域で周波数をプログラマティックに調整可能で30-50W程度の高周波出力が可能な回路が実現できており、送信機としては十分な性能が得られるものが完成している。 一方、受信機に関しては高効率化を狙って同期整流を試みているが、スイッチングのタイミングが合わないためうまく動作しておらず、ダイオードによる整流のみが実現できている。エネルギー伝送に関しては受信機での損失が大きくシステム効率としては50%を割り込んでおり、有効なエネルギー伝送が実現できなかった。
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