2010 Fiscal Year Annual Research Report
ビデオマススコープによるEGFR遺伝子変異の単一細胞レベル超高感度検出法の開発
Project/Area Number |
22659253
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡田 守人 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (70446045)
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Keywords | 腫瘍学 / 肺がん / がん悪性度診断 |
Research Abstract |
研究の目的である肺癌におけるEGFR遺伝子変異の超高感度検出法を開発すべく、研究実施計画において挙げた1)EGFR変異型と野生型の肺癌細胞の調達と培養、2)ビデオマススコープによる低分子細胞成分パターンの模索の段階を施行した。 まず肺癌細胞株の調達を行うに当たって、Gefitinib感受性を考慮し、EGFR遺伝子変異のない細胞株としてCalu-6、A549の2種類、EGFR遺伝子変異のある細胞株としてPC-9、NCI-H820の2種類を選定した。それぞれの細胞を調達し、培養することに成功した。 次に質量分析法を用いた培養細胞株の細胞内低分子パターンの検索を行うにあたって、1細胞探索の前段階としてそれぞれの細胞集団から得た細胞内抽出液を用いて、細胞内低分子パターンの網羅的解析を行った。細胞内抽出液にイオン化溶媒を加え、液体クロマトグラフィーにより極性ごとに分子を分離した上で質量分析計にかけることで、より効率的に解析を行った。結果として各細胞株に特徴的な分子がピークとして多数検出できたので、各分子の同定を進めるとともに、EGFR遺伝子に関係のある分子があるかを検討中である。また、今回得られた細胞集団での低分子パターンの結果が、ビデオマススコープを用いた1細胞における検索でも再現性があることを確認できれば、超高感度検出法として臨床検体へ応用可能と考える。 ここまでの結果で、質量分析により検出される分子は数千種類におよび、各細胞株に特徴的な分子も多岐にわたる。全ての分子の同定は多大な時間と労力を費やすことになるため、EGFR遺伝子変異の有無を表わす最も効率的な指標の選定と目的分子を効率よく測定するための質量分析計の設定を検討中である。
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