2010 Fiscal Year Annual Research Report
実質組織内の微量癌細胞の検出のための末梢血循環腫瘍細胞検出システムの応用
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22659254
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
野守 裕明 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90146613)
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Keywords | 胸部外科学 / 呼吸器外科学 |
Research Abstract |
組織内の微量な腫瘍細胞をセルサーチで検出するために、本年度はその基礎実験としてマウスの脾細胞をsingle cell suspensionにして、内部に混在した肺癌培養細胞株の微量の細胞を検出できるか否かを検定した。 マウスの脾臓をsingle cell suspensionにして、脾細胞の中の白血球をセルサーチシステムで単一細胞として同定した。マウスの脾臓を細かくきざみ、ステンレスメッシュ上でPBSを用いて洗いながら、試験管内に細胞浮遊液を回収する。リコンビナントプロテアーゼ処理後、ゴミを取り除くために150μm、さらには50μmのstrainerにかけ、最後にCellTricksフィルター(50→30→20μmの順に並んでいるフィルター)でほぼ単一化したsingle cell suspensionを試験管内に回収できた。 同single cell suspensionを5×10^6個/mlの細胞濃度にして、肺癌培養細胞株PC-9(腺癌)を脾細胞:癌細胞[1×10^9~1×10^5個:1]の割合で混在させ、セルサーチシステムを用いて癌細胞を検出し、それぞれの肺癌培養細胞株における各々の癌細胞混在率における感度と特異度を調べ、各癌細胞の検出限界を明らかにした。多くの血球成分から腫瘍細胞を分離するために、上皮細胞接着分子であるEpCAMに対する抗体を結合された磁性粒子(フェルロード)により血球成分から特異的に上皮細胞を分離・抽出し、さらに分離された上皮細胞に蛍光標識したサイトケラチン抗体をさせると共に、蛍光性のDNA染色物質DAPIで細胞核を染色した。その結果、脾細胞:腫瘍細胞の割合が1×10^9:1においても、セルサーチにおける腫瘍細胞の検出が可能であった。以上より、セルサーチを用いた肺癌細胞の検出は可能であり、固形組織内の微量な腫瘍細胞をセルサーチで検出できる可能性が十分に示された。
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