2010 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍幹細胞の同定に基づく下垂体腺腫の発生メカニズム解明と新規治療法への応用
Project/Area Number |
22659263
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
矢野 茂敏 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (60332871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秀 拓一郎 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (40421820)
倉津 純一 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (20145296)
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Keywords | 下垂体腺腫 / 腫瘍幹細胞 / 機能性腺腫 |
Research Abstract |
本研究の目的は、下垂体腺腫における腫瘍幹細胞の存在を明らかとし、腫瘍発生および増大おける関与と分化による腫瘍多様性の関係を明らかにする。さらに腫瘍幹細胞の分化誘導による薬剤感受性獲得の可能性を探ることである。初年度である平成22年度は下垂体腺腫において腫瘍幹細胞が同定できるかを検討した。 1)手術により摘出された下垂体腺腫患者標本を迅速にDMEM/F12,B27+EGF, bFGF培養液で培養した。症例は非機能性下垂体腺腫3例、GH産生性下垂体腺腫2例、PRL産生性下垂体腺腫1例、ACTH産生性下垂体腺腫1例であった。うち大型の非機能性下垂体腺腫、GH産生性下垂体腺腫、ACTH産生性下垂体腺腫においてsphere形成が確認された。一部凍結保存し、残りの細胞を分化条件の培養液に変更し培養を継続したことろ、GH産生性およびACTH産生性下垂体腺腫より形成されたsphareからの細胞分化が認められ、それぞれGHおよびACTHでの染色性が確認された。しかしながらsphare形成にいたる細胞数は多くなく、下垂体腺腫幹細胞として濃縮するまでには至らなかった。さらに採取標本の細胞数を増やし、培養条件を整えるべく検討中である。 2)同時期に摘出された下垂体腺腫患者標本をパラフィン固定し、腫瘍幹細胞の指標であるNestinに対する抗体で免疫染色を行った。非機能性下垂体腺腫9例中6例、GH産生性下垂体腺腫4例中2例、PRL産生性下垂体腺腫4例中3例、ACTH産生性下垂体腺腫2例中2例でNestin陽性細胞が観察された。
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