2010 Fiscal Year Annual Research Report
ATPase阻害による新たな関節リウマチ治療法の開発 ‐破骨細胞を標的として‐
Project/Area Number |
22659276
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
酒井 亮 京都府立医科大学, 医学研究科, 研修員 (50543542)
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Keywords | 関節リウマチ / ATPase阻害 / 破骨細胞 / 関節疾患 / 抗炎症作用 / proton pump inhibitor |
Research Abstract |
まず,LPZの細胞障害性を確認した.マウスRAW264.7マクロファージに,様々な濃度(0-400μM)のLPZを導入し,24時間後のcell viabilityをMTS assayで評価した.LPZの濃度が100μMまで細胞生存率に影響を与えなかった.次に,LPZの抗炎症効果を検討した.LPZのpretreatmentを行った後にLPS刺激(1μg/ml)を行い,培養上清中の炎症性メディエーターであるNO(nitrite)とPGE2をGriess reagent systemとELISAでそれぞれ測定した.LPZは濃度依存性にLPS誘導性のnitrite,PGE2産生を抑制した.特に100μMの濃度のLPZはnitrite産生をcontrolと同程度まで抑制した.さらにLPZのNOおよびPGE2産生に対する抑制効果がiNOSおよびCOX-2のタンパク発現に対する影響をウエスタンブロットで解析した.iNOSとCOX-2の発現はLPZによって抑制された.これらの結果から,LPZによるiNOSとCOX-2の発現抑制は,培養上清中のNOおよびPGE2量の減少と関係があることが明らかとなった.NOやPGE2の抑制には50μMのLPZが必要であった.投与方法の違いにもよるが,ヒトにおいてPPIを内服した際に血中濃度は2-3×10^<-6>Mから1-2×10^<-5>Mと報告されており,これは本研究で用いた薬物濃度と差異はなかった. マクロファージに対する抗炎症効果のメカニズムを解明するため,RAWでのP-ATPaseの発現をRT-PCR法で検討した.positive controlであるマウス胃粘膜組織ではP-ATPaseの発現を確認できたが,RAWでの発現は認めなかった.LPZおよびLPSの添加を行っても同様にP-ATPaseの発現を認めなかった.LPZはProton pump inhibitorであり,本来P-ATPaseを介した作用を有する.しかし,本研究から,LPZの抗炎症効果はマクロファージにおいてP-ATPase阻害とは異なるメカニズムによって抗炎症効果を有することが明らかとなった.以上から,LPZには,これまで臨床応用されてきた胃腸疾患のみならず,他の炎症性疾患へ適応が広がる可能性がある.
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Research Products
(1 results)