2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22659282
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福田 和彦 京都大学, 医学研究科, 教授 (90199224)
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Keywords | 吸入麻酔薬 / グリア / モルヒネ / 鎮痛 / 耐性 |
Research Abstract |
(1) 吸入麻酔薬の作用におけるグリア細胞の関与 亜酸化窒素の鎮痛作用、揮発性麻酔薬(イソフルラン、セボフルラン)の麻酔作用に対して、グリア細胞(アストロサイト、マイクログリア)活性を抑制する薬物(minocycline、propentofylline)の前投与が影響を及ぼすか否かを検討した。吸入麻酔薬の作用は、これらの薬物の前投与により有意な変化を示さなかった。 (2) モルヒネ耐性におけるマイクログリアの関与 マウスにモルヒネを連日投与すると、モルヒネの鎮痛作用は有意に低下し耐性が成立するが、マイクログリア活性を抑制するminocyclineを前投与すると、モルヒネ耐性の成立は有意に抑制された。この結果は、モルヒネ耐性の成立にマイクログリアの活性化が関与することを示唆する。脊髄から調整したRNAを用いてRT-PCRによりマイクログリアの活動を反映するCD11bの発現量を検討したところ、モルヒネを連日投与するとCD11b発現量が増加すること、すなわちマイクログリアが活性化されることが明らかになった。リポポリサッカライドなどによりtoll-like receptor 4 (TLR4)が活性化されるとマイクログリアが活性化されCD11b発現量が増加することが知られており、モルヒネによるマイクログリア活性化にTLR4が関与する可能性について検討した。モルヒネ連日投与により脊髄におけるTLR4発現量には有意な変化がないこと、TLR4機能を消失していることが知られているマウス系統(C3H/HeN)におけるモルヒネ耐性成立は野生型マウスと有意な差がないことから、モルヒネによるマイクログリア活性化にはTLR4は関与しないことが示唆された。今後、TLR4以外の機序によりモルヒネがマイクログリアを活性化する可能性について検討する予定である。
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