2010 Fiscal Year Annual Research Report
血中のmicroRNA測定による腎癌及び前立腺癌患者の鋭敏かつ簡潔な診断法の確立
Project/Area Number |
22659286
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大庭 成喜 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80361492)
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Keywords | microRNA / 癌 / 腎臓 / microarray / 血液 |
Research Abstract |
当所属機関・部局に入院された腎癌患者様20名と正常対照者20名から血液を日本ベクトン・ディッキンソン社のパックスジーンRNA採血管に採取し、キアーゲン社のmiRNeasy Kitを用いてRNAの抽出を行った。2群間では性別、年齢で出来るだけ有意な差が出ないように配慮した。それぞれの患者、正常対照者から採取したRNA検体をFebit社のmicroRNA microarrayシステムを利用してmicroRNAの発現量を網羅的に測定し2群間の比較を行った。その結果、20種類のmicroRNA(miR-1182,miR-1224-5p,miR-1250,miR-1268,miR-1275,miR-1293,miR-20a,miR-2861,miR-296-3p,miR-3141,miR-3147,miR-3154,miR-3652,miR-3679-5p,miR-3689a-3p,mik423-5p,miR-4258,miR-595,miR-608,miR-658,miR-765)が2群間で有意な発現量の差が認められた。この20種類のmicroRNAに関して、microRNA microarray分析で使用した残りのRNAを使用してreal-timePCR法の変法であるApplied biosystems社のmicroRNA assays法で実際にmicroRNAの差が確認出来るか現在検討中である。上記で得られた20種類のmicroRNA中でも9個のmicroRNA(miR-1268,miR.1275,miR-3147,miR-3652,miR-3689a-3p,miR-4258,miR-608,miR-765)に関してはp<0.01と2群間での発現量の差が際立っていた。その9つのmicroRNAのそれぞれのcut off値を設定してスコアリングすることで感度、特異度ともに70から80%を超える診断基準の設定に成功した。腎癌患者の進行度や組織型とmicroRNAの発現量の関連の分析を行ったが、検体数の問題から相関が見られるmicroRNAの同定には至らなかった。またこれまでの英文論文報告から特に有意差の大きかった9種類のmicroRNAと癌と関連において標的蛋白質の報告がないかどうか検索を行ったが、明確な標的蛋白質の報告は無く、現在これまでに報告されている癌関連遺伝子が同定されたmicroRNAの標的遺伝子になり得るかをmiRanda標的遺伝子予測システム及びレポーターアッセイ法を用いて検討を進めている。
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