Research Abstract |
昨年度の研究にて、当所属機関-部局に入院された腎癌患者様20名と正常対照者20名の血液中のmicroRNAの発現量を網羅的に測定し2群間の比較を行った結果、20種類のmicroRNA(miR-1182,miR-1224-5p,miR-1250,miR-1268,miR-1275,miR-1293,miR-20a,miR-2861,miR-296-3p,miR-3141,miR-3147,miR-3154,miR-3652,miR-3679-5p,miR-3689a-3p,miR-423-5p,miR-4258,miR-595,miR-608,miR-658,miR-765)が2群間で有意な発現量の差が認められた。今年度の研究で、この20種類のmicroRNAに関して、microRNA microarray分析で使用した残りのRNAを使用してreal-time PCR法の変法であるApplied biosystems社のmicroRNA assays法で実際にmicroRNAの発現量の差を確認したとこ、ろ全てのmicroRNAについて確認することが出来た。上記で得られた20種類のmicroRNA中でも9個のmicroRNA(miR-1268,miR-1275,miR-3147,miR-3652,miR-3689a-3p,miR-4258,miR-608,miR-765)に関してはp<0.01と2群間での発現量の差が際立っていた。今年度は新たに正常対照者5名と腎癌患者6名の血液検体を採取した。採取した検体からRNAを採取したところ0.1mg/ml以上の濃度で回収できた検体が正常対照者3名、腎癌患者3名であった。この6検体に関して新たにmicroRNA microarray分析を行った。その結果、特に有意差にえられた9個のmicroRNAのうちの8個のmicroRNA(miR-1268,miR-3147,miR-3652,miR-3689a-3p,miR-4258,miR-608,miR-765)に関しては腎癌患者で減少する傾向も確認出来なかったが、miR-1275に関しては有意差までは得ら-れなかったが腎癌患者で低下している傾向が確認出来た。前年度から引き続き、現在これまでに報告されている癌関連遺伝子が同定されたmicroRNAの標的遺伝子になり得るかをmiRanda標的遺伝子予測システム及びレポーターアッセイ法を用いて検討を進めたが、明らかな標的となる癌関連遺伝子の同定には至らなかった。
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