2011 Fiscal Year Annual Research Report
受精卵の全能性機能を探り出す研究―リプログラミング因子を一網打尽に捉える―
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22659304
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
阿久津 英憲 独立行政法人国立成育医療研究センター, 生殖・細胞医療研究部, 室長 (50347225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 雅士 (地独)東京都健康長寿医療センター, 研究副部長 (50392486)
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Keywords | 発生 / 受精 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
発生学的に運命付け(プログラム)された細胞を細胞・分子機能的に変化させることをリプログラミングといい、iPS細胞の樹立報告以来その機構解明は基礎生物系のみならず医・薬学応用への展開も大いに期待されている。本研究では、究極のリプログラミング能力を示している受精卵(マウス)を対象にリプログラミング因子を突き止める挑戦的研究を行う。卵子細胞内では精子と融合(受精)後、生物学的に最も劇的な変化がエピジェネティックレベルで雌・雄性前核形成から融合過程で観察できる。この受精卵の雄性前核と雌性前核を採取し、網羅的遺伝子発現解析を行い、リプログラミングに関連する生体内因子を一網打尽にとらえることを目的としている。今年度は、(1)受精卵雌雄前核網羅的遺伝子発現解析のため、実験動物マウスを用いて受精卵より雌雄前核の採取を行った。顕微鏡下にマイクロマニピュレーション手技により雌雄前核を取り出し、前核群と除核細胞質群に分け、網羅的遺伝子発現解析を行った。サンプルが微小なため、種々のRNA増幅試験を行った上で、RNAをリニア増幅することでマイクロアレイ解析が可能であった。得られた遺伝子発現データから、in silicoにリプログラミングや胚の転写開始に関連する遺伝子群を抽出しGO term解析を行った。染色体関連としてクロマチンリプログラミングに関連する遺伝子を中心に有力な遺伝子を抽出することが可能であった。今後は、細胞での発現動態を検証したのち、遺伝子機能との関わりを提示することで、さらなる発展性へ向けた確個たるエビデンスを提示していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本プロジェクト目的達成のためには、技術的及び想定した仮定の上でもチャレンジングな項目があった。今年度までに、サンプル回収から網羅的遺伝子発現解析にいたる技術的障害をクリアし、極めて精度が高いサンプリングをすることが可能であった。仮定項目では、微小サンプルから得られた遺伝子発現データは想定以上に極めてユニークな機能付が可能であり、今後大きな発展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
in silicoから初期発生と体細胞核リプログラミング機能との関連性に重点をおきデータバリデーションと機能解析を行う。
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