2011 Fiscal Year Annual Research Report
イオンチャネルの機能増強型点変異による前庭・聴覚機能への影響
Project/Area Number |
22659307
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
島田 昌一 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20216063)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 雄介 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (30381809)
|
Keywords | 内耳 / 有毛細胞 / イオンチャネル / 点変異 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
酸感受性イオンチャネル(ASIC)遺伝子ファミリーは、感覚器や神経系に幅広く発現し、内耳にも発現している。この遺伝子ファミリーに属するASIC2aの430番目のグリシン残基を他のアミノ酸に置換するとチャネルの特性が様々に変化する。我々はASIC2aの430番目のグリシン残基をフェニルアラニンに置換することにより、機能増強型(gain of function)のチャネルを作成した。このチャネルは常に開いているため、ナトリウムイオンが流入し、細胞死を引き起こすことを培養細胞を用いて確認した。 430番目のグリシン残基をフェニルアラニンに置換した点変異を導入したASIC2イオンチャネルの上流にASIC2自身のエンハンサープロモーター領域を含んだコンストラクトを構築し、トランスジェニックラットを作成した。このトランスジェニックラットは、明らかに歩行の異常が認められ、小脳の萎縮など神経系における形態的な異常も認められた。 このトランスジェニックラットは、繁殖が難しいので、現段階では、行動機能解析の実験に必要十分な匹数をそろえられなかった。匹数を増やした後に、小脳や内耳の神経組織が変性しているかどうかの組織学的検討や、歩行の異常が小脳に原因があるのか、平衡感覚に異常があるのかを、ロータロッド試験や眼振検査などの各種検査により解析する必要があると考えられた。
|