2010 Fiscal Year Annual Research Report
ハイスピード陰圧補助機能付微小血管マイクロ吻合器の開発
Project/Area Number |
22659321
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
牛田 多加志 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50323522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
光嶋 勲 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60101804)
古川 克子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (90343144)
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Keywords | マイクロサージェリー学 / 血管吻合 |
Research Abstract |
陰圧補助型吸収性微小血管吻合器Vacuum-Assisted Microvascular Anasto-Coupler(VaMAC)を直径1mmの静脈を対象として完成させ,動物モデルでの実験を行うことを目標とした.VaMACは筒に吸引管取り付け部がついている形状で,筒の縁に微小吸引孔を8個有し,吸引孔に陰圧をかけるためのフラフープ状の空気孔の内部構造を持つように設計製作した.VaMACに静脈を挿入し,吸引管を吸引管取り付け部に接続することで,フラフープ状の空気孔を介して微小吸引孔に陰圧が発生し,VaMACの縁に血管壁の外膜が同心円状に張り付くことで数秒で血管の外反した状態が保持されることを期待した.VaMACは,CADで作成した3Dデータをレーザー光造型機に入力し,光硬化生体吸収性ポリマーで作製した.8個のVaMACを作成し,ラット8本の大腿静脈で吻合実験を施行した.2週間後に血管吻合部をデバイスごと採取し、病理学的検討および,走査顕微鏡での血管内腔の内皮細胞の再生の評価を行った.8例中1例で実験中にデバイスが破損したため,データから除外した.したがって7例施行し,6例において,血栓形成はみとめられず,1例においては,術後経過観察期間にデバイスが外れたために,血管の断端が露出し,2週間後の確認時には血腫が生じていた.全体として7例中6例(85.7%)の開存率を得た.走査顕微鏡,病理組織切片(光学顕微鏡)でも吻合部は良好に内皮細胞で再生され,連続性が保たれていた.当初の目標は開存率が90%以上であり,開存率に関してはやや及ばなかったものの初年度の目標はほぼ達成できたと考えられる.
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