2010 Fiscal Year Annual Research Report
HMGB1の生体内分子修飾による機能変化・病態発現とその制御
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22659327
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
丸山 征郎 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任教授 (20082282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川原 幸一 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 助教 (10381170)
橋口 照人 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 准教授 (70250917)
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Keywords | HMGB1 / トロンボモデュリン / TLR-2 / TLR-4 / トロンビン |
Research Abstract |
HMGB1は侵襲局所の壊死細胞、あるいは活性化樹状細胞/マクロファージなどから産生、放出され、侵襲局所においては、自然免疫、止血、そして修復のアジュバントとして機能する。一方、申請者らは、このHMGB1が血管内皮細胞上のトロンボモデュリン(TM)のN末端レクチン様ドメインに結合し、その活性などを失い、その後、トロンビンによってN末から10残基が除去されることを報告し、これを末端の除去されたHMGB1をdes-HMGB1と命名した。 本研究の目的では、このdes-HMGB1の構造、機能についての研究し、以下のような結果を得た。 1. トロンビン・TMカラム内にインタクトHMGB1を通すと、des-HMGB1が流出してくる。実際のDIC患者の血中にもこのdes体が証明される。特に遺伝子組換えTMを投与した患者血中にはこのdes体が増加する。 2. 生体内でHMGB1がこのカラムと同じように緩い速度で、かつ十分量のTM分子と接触する部位は微小循環系であるので、おそらく臨床例でdes-HMGB1が生成される部位は微小循環系であろうと推定された。 3. インタクトHMGB1は、N末端は-に、C末端は+にチャージした双極性のアミノ酸配列をしており、そのため両端がお互いに引きあい、"わっか構造"をしている可能性がある。一方、C末端にはRAGE結合部位(RBD)が存在するが、今回、トロンビン・TM複合体が切断分離するN末端から10残基のうち、6個はRAGEのHMGB1結合と同一であり、両者は高い相同性を有していることが明らかになった。これらの知見より、HMGB1は"わっか構造"を取りやすいものと想定される。しかしdes体はN末端の10残基のアミノ酸を欠損しているので、"わっか構造"が緩んでいる可能性がある。現在のところ、このdes-HMGB1の"緩んだわっか構造"ついては現在も研究中である。
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Research Products
(3 results)