2010 Fiscal Year Annual Research Report
免疫・炎症応答が惹起する肝局所DICとそれを介した劇症肝炎の解析
Project/Area Number |
22659328
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
筒井 ひろ子 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (40236914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 良介 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (20456891)
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Keywords | 異常凝固亢進 / 組織因子UTissue Factor / PAI-1 / TAT / フィブリン沈着 / Con A / 劇症肝炎 |
Research Abstract |
当該研究は、局所性DICに起因する劇症型臓器不全の細胞・分子メカニズムを解明することを目的とする。既に報告しているように、T細胞レクチンであるConcanavalinAの静脈内投与により誘導される劇症肝炎は抗凝固剤の前投与で完全防御できることから、本モデルを用いて解析を行った。その結果、以下の点が判明した。(1)Con Aを投与した野生型マウスの肝臓の類洞壁には顕著なフィブリン沈着が観察され、凝固系のマーカーであるTATの血漿濃度の上昇も観られた(2)IFN^γ TNF両遺伝子欠損マウスでは、肝のフィブリン沈着も血漿TAT値上昇も認められなかった。(3)凝固亢進の先導因子である組織因子(TF)と線溶阻止因子であるPAI-1の肝での発現を検討したところ、野生型マウスでは、Con A投与後、顕著な上昇が見られたが、IFN^γ TNF両遺伝子欠損マウスでは全く認められなかった。(4)PAI-1欠損マウスにCon Aを投与すると、野生型マウスと遜色のない、凝固亢進と肝障害が観察された。(5)TFに対する中和抗体を投与すると、野生型マウスで観られた凝固亢進や肝障害は有意に抑制された。(6)野生型マウスに組換えIFN^γとTNFを投与するだけでは、凝固亢進も肝でのTF発現誘導も肝障害も誘導されなかった。以上の結果から、Con A肝障害は内因性のIFN^γとTNFに依存して誘導されるTFが必要であることが証明された。しかし、IFN^γとTNFだけでは、病的凝固亢進や結果としての肝障害を誘導するには不十分であることが判明した。それには、IFN^γとTNF信号に加えて、もう一つの信号経路の重要性が示唆された。
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Research Products
(3 results)