2010 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類における摂食調節関連神経核とニューロンの発生過程を再現する培養法の開発
Project/Area Number |
22659334
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
今井 元 昭和大学, 医学部, 講師 (90291343)
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Keywords | 摂食調節 / 視床下部 / 神経核 / 神経細胞 / 器官培養 / 全胚培養法 / 脊索前板 / MSHβ |
Research Abstract |
本年度の目標は、作業目標1.の『摂食調節関連の神経核とニューロンの発生を再現できる長期視床下部培養系の確立』を行うことであった。すなわち、視床下部の摂食調節関連の神経核やニューロンをin vitroで発生させる方法を確立し、摂食関連神経細胞の発生の分子機構を解明するための器培養系を確立することである。現在、可能な限り長期に視床下部の3次元的な発生過程を再現するため、既存のラット全胚培養法の卵黄嚢の開窓法・培養液・ガス濃度を改善した確立している。以下の(1)~(3)に、現在まで結果を示す。 (1) 脊索や脊索前板をDiI標識し、120時間の全胚培養(11/13)が確立された。さらに、その系において144時間(4/13)の心拍動の維持を維持することが可能になった。(2)また、120時間の全胚培養(培養胚は、脳の形態からE13.5に相当する。)では、DiI標識された脊索や脊索前板由来の細胞の近傍で、脳内で各摂食関連因子であるMSHβの前駆体(PONC産生細胞)が発生することが確認された。これらは、脊索や脊索前板が摂食調節関連神経核の発生に寄与していることを示唆している。(3)さらに、脊索や脊索前板由来の細胞の到達領域は、鼻板や間脳や中脳においても観察することができた。また、これらの領域は、視索前野に移動するGnRHのニューロンの発生領域に一致していた。これらは、頭部中内胚葉(脊索や脊索前板由来の細胞)が、生殖関連神経核のニューロンの発生に寄与していることを示唆している。すなわち、摂食活動と生殖活動は発生段階からlinkしている可能性を暗示していた。したがって、来年度は、144時間の全胚培養の確立、あるいは、120時間全胚培養を行った後、視床下部培養を行い、視床下部における摂食関連ニューロン、および、生殖関連ニューロンと中軸中内胚葉との局在の関連性を精査したのち、作業目標2『摂食調節関連の神経核とニューロンの発生過程における頭部中内胚葉の役割の解明』を行う予定である。
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