2011 Fiscal Year Annual Research Report
舌下免疫療法の効果発現に至る口腔粘膜免疫システム特性の解明
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22659340
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
東 みゆき 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90255654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡野 光博 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (60304359)
大野 建州 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (80435635)
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Keywords | 免疫 / アレルギー / 舌下免疫療法 / 口腔粘膜 / 樹状細胞 |
Research Abstract |
舌下免疫療法(Sublingual Immunotherapy, SLIT)は、舌下粘膜経由でアレルゲンを少量づつ投与していくことによる寛容誘導法であるが、舌下粘膜樹状細胞がSLITによる免疫寛容誘導にどのように関わっているのか明確ではない.本研究目的は、口腔粘膜の特性を明確にすることで、その制御メカニズムを明らかにすることである。本年は、舌下粘膜への抗原投与後の樹状細胞の動態を調べる目的で、ハプテンである緑色蛍光FITCおよび既存のマウスアレルギーモデルで頻用されているタンパク抗原OVA塗布後の局所樹状細胞の動態を組織学的に解析した。頬粘膜と比較して、レジデントLCおよび間質樹状細胞数は、舌下粘膜では明らかに少なく、塗布後6-10時間でレジデント樹状細胞はリンパ節への遊走により枯渇し、局所に存在する多くの樹状細胞は血管経由の単球由来樹状細胞と考えられた。舌下粘膜への反復抗原塗布では、抗原特異的免疫応答はこれらの単球由来樹状細胞によって担われている可能性が示唆された。OVA塗布は、FITC塗布と比較し、樹状細胞の動態変化は弱く、遅い動きを示した。OVA+CTの舌下粘膜塗布により移入された抗原特異的DO11.10 TCR CD4+T細胞の増殖応答が観察されたが、抗PD-1中和抗体投与により、その応答はさらに増強された。興味深いことに、CTなしの舌下投与ではその応答は抑制された。マウスモデルで舌下免疫療法を実施するために、アジュバントを使用しない花粉吸入のみで感作することによるマウススギ花粉症モデルを樹立することができた。来年度は、本モデルを用いて、SLITを実施し、舌下樹状細胞の機能的関与を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口腔粘膜局所の樹状細胞動態研究はほぼ順調に結果が得られ、また念願であった、安価で汎用可能なマウス花粉症モデルを樹立できたことの成果は大である。最終年度に向かっての本研究の進展が期待できるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究に汎用可能な簡易なマウス花粉症モデルを樹立できたことで、最終年度に向かっての本研究の進展が期待できるようになった。OVAを用いた抗原特異的な応答評価に関しては、当初の予定より若干の遅れがあるが、問題解決はできているので、予定通り推進できると考えられる。
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