2011 Fiscal Year Annual Research Report
多光子励起顕微鏡法と膜電位感知タンパク解析法を用いた歯髄リンパ網の研究
Project/Area Number |
22659344
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
池田 英治 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (20222896)
|
Keywords | 多光子励起顕微鏡 / fluorescent microsphere / リンパ管 / 膜電位検知タンパク質 / 細胞・組織 / 歯髄 |
Research Abstract |
1.歯髄リンパ管の新生・再生 歯髄炎症時の歯髄リンパ管の新生、再生を解明する目的で、免疫組織学的にVEGFR-3,LYVE-1,Prox-1抗体を用いて、コントロールとして健常組織のリンパ組織を染色してみた。すると、健常状態の歯髄では、この3種の抗体に対する反応が、矯正治療目的で抜歯した直後のヒト小臼歯でも、実験動物(ラット)臼歯でも陽性反応を検出できなかった。 それに対して、実験動物の唾液、ヒト歯垢、ヒトう蝕象牙質をラット臼歯に形成した象牙質窩洞内に封入して歯髄炎を誘発した。この歯髄炎時のリンパ管の分布・密度変化を健常時と比較して、リンパ管の分布に変化が生じていることを確認し、それが歯髄生活性を維持するためのlymphangiogenesisであると考えられた。 2.象牙細管内容液の移動するスペース測定 歯髄リンパ系が関与する外向き組織圧によって象牙細管内容液が外向きの流れを有している。この流れによって、大きさと励起波長が異なる蛍光microsphereを露出象牙質面に作用させ、多光子励起顕微鏡(Two-photon microscopy)を用いて形態学的に解析を試みた。その結果、0.1-0.2μmのmicrosphereは象牙芽細胞突起と象牙細管壁の間のギャップと通過して歯髄に到達することができた。 これらのことは、健常時の歯髄リンパ網は免疫担当細胞を歯髄に送達し、かつ毛細血管とともに歯髄陽圧化に貢献しているが、歯髄炎という危機に活性化し、あるいは発芽することが推測された。
|
Research Products
(12 results)