2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22659348
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
魚島 勝美 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50213400)
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Keywords | 歯学 / 骨増成 / インプラント / 生体材料 / 増殖因子 |
Research Abstract |
本研究の目的は、インプラント埋入にあたってフィクスチャマの上部が一部露出する場合や、上顎前歯部のインプラント先端部頬側の骨が不足することが予想される場合などに用いることができる、骨膜の切開・剥離を必要としない小規模骨増成方法の新規開発である。そのために、平成22年度には骨補填材として市販されているバイオペックスを注射器によって単独で局所に投与し、骨形成が起こることを確認した。実験はウイスター系ラットの頭蓋骨を用い、骨膜を剥離することなく、頭蓋骨骨膜下にバイォペックス約0.5mlを注入し、1ヶ月経過後に通法にしたがってパラフィン包埋、薄切、H-E染色し、光学顕微鏡下に組織学的に観察した。その結果、大部分のバイオペックスは残存しているものの、残存するバイオペックスを取り囲むように骨が形成されることが確認された。部分的にはバイオペックス内に骨が進入し、次第にバイオペックスが骨に置換されていると推察された。部位によっては既存骨表面とバイオペックスとの間に軟組織の介在が観察されたが、多くの領域でバイオペックス表面に形成された骨と既存骨との連続性が観察されたことから、歯槽骨表面にも同様の方法でバイオペックスを適用することによって骨増成を効果的に行うことの可能性が示された。この結果をより確実にするために、平成23年度には追加実験を行うと共に、バイオペックスに骨形成を促進する増殖因子として、FGF2とBMP2を混和し、注射器を用いて局所に投与し、その骨形成状況を検証した。今のところ、これら増殖因子の活性がバイオペックスとの混和でも保たれているか否かを組織学的に検証している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バイオペックスはαTCPを主体とする骨補填材であり、液状のバイオペックスを注射器で骨膜下に注入する方法で骨増成が行えるメリットは非常に大きい。臨床的な使用にあたって、併用する増殖因子の価格も大きな要素であるが、現在までに数種の増殖因子の併用について検討しており、本研究の目的達成に近付いていると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
バイオペックスと増殖因子の混和によって、増殖因子の活性が失われるか否かの検証は、組織学的に判断することが困難であるが、今後注意深くコントロールとの比較をすることで、より正確な判断をする予定である。
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