2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22659355
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
春日井 昇平 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70161049)
|
Keywords | 上顎洞 / 骨造成 / インプラント / サイナスリフト / 骨 |
Research Abstract |
上顎臼歯欠損部では上顎洞底が近接し、インプラントを支える骨が充分に存在しないことが多い。そのような場合には、上顎洞粘膜を挙上して骨を造成する上顎洞底挙上術(サイナスリフト)をおこなうことでインプラント治療をおこなうことが可能となる。本研究の目的は、挙上した上顎洞粘膜下に適用して、骨造成のためのスペースを確保し、X線透過性で骨と置換する材料を開発することである。このような材料の開発により、上顎臼歯部のインプラント治療を、低侵襲に、簡便に確実におこなうことが可能になり、多くの患者さんのQOL向上に貢献する。 上顎洞粘膜を挙上したスペースに適用するために、吸収性リン酸カルシウム系材料のbeta-TCPあるいはalpha-TCP、あるいは吸収性高分子材料のPLGAを用いて、様々な形状の材料の試作をおこなった。しかし、これらの試作品を上顎洞頬側の骨の開窓部から適用し、上顎洞内に確実に固定することは技術的に難しいと考えられた。 上顎洞粘膜を埋入したインプラントで挙上することで、上顎洞内に骨が造成されることが報告されている。上顎臼歯部歯槽頂から上顎洞までの距離が平均2mmの10名の患者に、挙上した上顎洞粘膜下にコラーゲン膜を置き20本のインプラントを埋入し、上顎洞粘膜下にスペースを確保した。全ての症例において、6ヶ月後には上顎洞内に骨が形成され、その後インプラントは臨床的に問題無く機能している。しかし、残存骨が1mm以下の場合にはこの手法を用いることができない。 上顎洞頬側骨はある程度の厚みあるので、この部位に固定できるチタン製の長いネジを用いて上顎洞粘膜を挙上することで、上顎洞内に骨を造成できると考えられる。したがって、本研究のタイトルと異なるが、必ずしも吸収性の材料の開発に固執する必要は無いと考えている。
|
Research Products
(6 results)