2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22659359
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
西村 正宏 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (00294570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
住田 吉慶 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50456654)
末廣 史雄 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40524781)
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Keywords | 歯肉幹細胞 / 骨再生 / 歯槽骨再生 |
Research Abstract |
本研究の目的は歯肉中の骨分化能をもつ細胞を採取し、これを用いた歯槽骨再生医療のための基礎的知見を得ることである。昨年度はヒト歯肉(3株)をMACSシステムとCD166抗体によって分離培養し、骨分化誘導培地で培養したところ、抗体陽性細胞群でも明らかな石灰化が認めらなかったことから、本年度はヒト歯肉の細胞株を9株に増やして検討した。その結果、1株で明らかにCD166陽性細胞群が、陰性細胞群に比べて強い石灰化を示した。同様の実験をCD146抗体を用いて行ったが、明らかな差は認められなかった。一方、CD166の抗体を添加するのみで、MACSで分離しない細胞群でも比較的強い石灰化を示した。したがって、CD166抗体が歯肉線維芽細胞の石灰化を特異的に促進するのか否かを確認するため、骨髄由来間葉系幹細胞と皮膚由来の線維芽細胞に対して、CD166抗体添加による石灰化促進効果を確認した。その結果、CD166抗体添加は皮膚由来線維芽細胞の石灰化には影響を与えず、骨髄由来間葉系幹細胞の石灰化は促進した。これは1998年のBruderらの結果と一致する。つまり、CD166抗体は骨芽細胞に分化する能力をもつ細胞のCD166受容体に結合し、特異的に石灰化を誘導すると考えられる。そして9株の歯肉線維芽細胞のうち1株には骨芽細胞に分化しうる細胞が多く含まれており、CD166抗体によって何らかのシグナルが伝わって、この細胞を骨分化誘導したと考えられる。MACSはこの細胞含有率を濃縮するために、さらに有効な手段となったと考えられる。
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