2011 Fiscal Year Annual Research Report
除神経嚥下筋におけるエネルギー代謝と筋病理学的解析
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22659361
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北川 善政 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00224957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 農夫男 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 特任教授 (20091415)
山崎 裕 北海道大学, 大学病院, 講師 (90250464)
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Keywords | 咀嚼筋 / 嚥下筋 / 筋線維タイプ |
Research Abstract |
嚥下は、多くの筋が巧妙なタイミングで収縮と弛緩を行う事で遂行される。この嚥下機構はきわめて複雑で、口腔期の咀嚼運動やその他の運動神経系、咽頭期における知覚神経系、脳幹の嚥下中枢、嚥下関与筋がきわめて協調的に機能することで成り立っている。今回、1)嚥下関与筋の筋線維構成、2)嚥下造影検査VFを行い、嚥下機構の解明に迫る一助としたい。 1.ヒト胸鎖乳突筋は四肢筋と似た構造でタイプ1、2A、2Bの3種類の筋線維がモザイク状に配列していた。オトガイ舌筋ではタイプ2B線維は認められなかった。ヒト咬筋には胎児型(type2C)、心筋型(α-cardiac MHC)ミオシンアイソフォームMHCが存在し、Type1(遅筋)が多く、Type2(速筋)が極端に小さい事を報告してきた。咀嚼筋は食性や高度に分化した顎運動様式に機能的に順応した組織化学的特徴を有している。 2.粉末飼料飼育(Soft Diet)実験:生後4週齢(離乳期)から長期間粉末試料で飼育し咀嚼筋に及ぼす影響を調べた。 1)Soft Dietにより咬筋や内側翼突筋では、下記のような筋線維タイプの転換が観察された。 タイプ2B→2A(強い力を必要としない) タイプ1→2A(持続運動を必要としない)Simultaneous 2-way Conversion 2)外側翼突筋の上頭はStatic、下頭はPhasicな機能を有していた。Soft Dietによりタイプ2A→1への転換がみられJaw closerと逆の結果であった。 3.交感神経切除実験では、壊死、再生線維などヒト顎変形症や筋ジストロフィーと似たような異常所見がみられ、筋線維の分化、エネルギー代謝には交感神経が調節していることが示唆された。
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