2011 Fiscal Year Annual Research Report
不正咬合の分子機構を探る新たなパラダイム-エピジェネティクス
Project/Area Number |
22659375
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山城 隆 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70294428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳田 剛志 岡山大学, 岡山大学病院, 助教 (90534793)
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Keywords | エピジェネティクス / クロマチン / マイクロアレイ |
Research Abstract |
近年、不正咬合患者が増加していることが報告されている。特に、やわらかい食事によって、顎骨がしだいに退化縮小したことがその一因であると考えられるようになっている。しかし、環境因子である咀嚼機能がどのように顎骨の形態の決定に関与するのであろうか?本研究の目的はエピジェネティクスという新たな概念を導入し、不正咬合の原因の分子機構を探る新たな基盤を確立することである。本研究では、環境要因が、クロマチンへの後天的な修飾によって、DNAの塩基配列を変化させることなく、遺伝子発現を選択的に活性化・不活性化させる後天的な制御(エピジェネティクス制御)に注目した。 本年度は、まず実験的不正咬合モデルマウスの確立がなされた。硬い食餌と柔らかい食餌のどちらかを与え続けることにより、ラットにおいて下顎骨の形状に違いが生じることがすでに報告されている。そこで、実験モデルを確立するために、ラットと同様の条件でマウスの飼育を行い、一方には十分に乾燥させた食餌を与え、もう一方には水で溶かした流動食のような状態の食餌を与えた。で8週齢になるまで飼育し、頭蓋骨と下顎骨を採取した。採取後、マイクロCT撮影によって、頭蓋骨と下顎骨の形状、大きさを計測した。その結果、流動食の食餌を与えたマウスにおいては、下顎骨の形態が有意に変化することを見出した。そして、これらの顎骨から得られたmRNAをマイクロアレイ解析を行った。その結果、食餌の種類が遺伝子発現動態に影響を及ぼすことを見出した。現在、成果をまとめて論文投稿の準備中である。
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