2010 Fiscal Year Annual Research Report
胃の蠕動機能が睡眠時ブラキシズムの発現に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
22659377
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
宮脇 正一 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 教授 (80295807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大牟禮 治人 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 講師 (00404484)
永山 邦宏 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (60583458)
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Keywords | 睡眠時ブラキシズム / 胃食道逆流 / 胃排出能 / 胃電図 / 消化管運動 |
Research Abstract |
近年、睡眠時ブラキシズムと胃食道逆流や機能性胃腸症等の疾患との関連が注目されている。しかしこれまで、睡眠時ブラキシズム患者の胃の蠕動機能を評価した報告や消化管運動改善薬の睡眠時ブラキシズムに対する治療効果を検討した報告はない。そこで、本研究は歯科分野の研究に内科学的検査(胃排出能、胃電図)や消化管運動改善薬による内科的治療を適用して、胃の蠕動機能がブラキシズム発現にどのような影響を及ぼすかを検討した。健康な成人男性6名を対象に、咀嚼を行った場合(M群)と行わなかった場合(C群)の2つの条件下で、胃排出能(13C呼気試験法)や胃運動機能(胃電図)、自律神経活動(心電図)を調べた。試験食には13C-acetate 100mgを含んだ液状食を用い、M群では試験食摂取中に無味無臭の硬性ガムを5分間咬ませた。試験食摂取後の呼気試験データから13C排泄速度やTmax、T1/2を、胃電図からdominant frequencyとdominant powerおよび摂食前後のPower Ratioを、心電図からR-R間隔変動の高周波成分(HF)と低周波成分(LF)を解析し、2群間を統計学的に比較した。その結果、M群ではC群と比べ摂取10~40分後までの13C排泄速度が低く、Tmaxも有意に遅れた。T1/2に2群間で有意差は見られなかった。また、摂取0~10分後のPower RatioはM群が有意に低く、40~50分後のdominant powerはM群が有意に大きかった。自律神経活動はM群が摂取中にLF/HF比が有意に高かった。以上の結果から、咀嚼を行うと一時的に交感神経系が優位になり、胃の運動機能が抑制され、咀嚼をしなかった場合と比べ胃からの食物排出が一過性に遅延するが、その後胃の運動機能は亢進することが示唆された。 今後はこれまで行われてきた固形食での結果との比較を行い、咀嚼による食物の粉砕の影響や自律神経活動が消化管活動に及ぼした影響を検討していく予定である。
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