2010 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病と特定臓器癌化リスク亢進との関連性についてのエピジェネティクス解析
Project/Area Number |
22659381
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久保庭 雅恵 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (00303983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 美樹 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (20263303)
関根 伸一 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (70506344)
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Keywords | 歯周病 / 癌 / 歯肉上皮細胞 / Porphyromonas gingivalis / I型線毛 / p53 |
Research Abstract |
本研究においては,いくつかの大規模疫学研究による報告で注目され始めた,歯周病有病状態もしくは歯の喪失状態と特定臓器の発癌リスク亢進の関連性に着目し,そのメカニズムの解明への端緒となる分子細胞学的研究を実施することを目的としている.本年度は,これまでの申請者らの研究などから,発癌への関与の可能性が示唆される歯周病原性菌Porphyromonas gingivalisに焦点をあて,同菌の持続的感染によって歯肉上皮細胞に生じる癌抑制遺伝子p53の発現プロファイルの変化やセルサイクルへの影響について詳細に検討した P.gingivalis I型線毛株であるATCC33277株およびII型線毛株であるTDC60株を用い,歯肉上皮細胞1細胞あたりに感染させる細菌数(MOI)を1,10,100,200と設定した異なる感染条件下で持続感染させたところ,ATCC33277株をMOI10および100で感染させた歯肉上皮細胞において,感染後24時間および48時間の時点でp53タンパク質の顕著な減少および同タンパク質のSer15部位の脱リン酸化が観察されたが,同様の現象はTDC60株感染歯肉上皮細胞においては認められなかった.さらに,ATCC33277株をMOI100で感染させた歯肉上皮細胞の増殖能をin situ BrdUアッセイにより調べたところ,非感染細胞およびII型線毛株感染細胞と比較して増殖能が亢進している像が確認された これらのことから,P.gingivalis I型線毛株の持続的感染が歯肉上皮細胞の癌化リスク亢進に関与している可能性が示唆された.今後,同菌の感染により歯肉上皮細胞にどのようなエピジェネティックな変化が生じているか検討する予定である
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