2011 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病と特定臓器癌化リスク亢進との関連性についてのエピジェネティクス解析
Project/Area Number |
22659381
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久保庭 雅恵 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (00303983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 美樹 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20263303)
関根 伸一 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (70506344)
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Keywords | 歯周病 / 癌 / 歯肉上皮細胞 / p53 / Porphyromonas gingivalis / MDM2 / メタボローム |
Research Abstract |
本年度も昨年度に引き続き、発癌への関与の可能性が示唆される歯周病原性菌Porghyromonas gingivalisに焦点をあて、低感染多重度(MOI)での同菌の持続的感染によって歯肉上皮細胞に生じる癌抑制遺伝子p53の発現阻害とそれを誘発するメカニズム、およびp53の機能抑制によって引き起こされる宿主細胞代謝プロファイルの変化について検討を加えた。 通常p53は4量体で存在し,細胞内に少量しか存在しない。これは,MDM2(p53のユビキチン依存性分解に関わるE3ユビキチンリガーゼ)が結合して分解が促進されているためである。p53のSer15がリン酸化されると,p53はMDM2から離れて安定化・活性化する。昨年度、我々はMOI10で持続的にP. gingivalisを感染させるとp53発現量が顕著に減少すること、またSer15部位の脱リン酸化が観察されることを報告した。そこで、今回P. gingivalis感染がMDM2の消長に及ぼす影響を検討したところ、p53の減少に先立ち、MDM2の発現量増加とSer166部位のリン酸化による活性化が認められた。このことから、P. gingivalis感染によるp53の機能抑制は、MDM2の活性化によるp53分解の亢進が関与していることが明らかとなった。 p53の機能を喪失した癌細胞ではグルコース代謝(解糖系)が亢進してエネルギー(ATP)の産生が増える。我々は歯肉上皮細胞にMOI10条件下で持続的にP. gingivalisを感染させ、細胞の代謝プロファイルの変化をメタボローム解析によって経時的にモニタリングした。その結果、感染細胞では非感染細胞よりも培地からのグルコース取り込みが有意に増加しており、癌細胞と同様グルコース代謝が亢進していることが示された。
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