2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22659387
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
田中 裕二 千葉大学, 大学院・看護学研究科, 准教授 (40179792)
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Keywords | 神経科学 / 看護学 / 高次脳機能 / 意識障害 / 感覚刺激 |
Research Abstract |
本研究の目的は,意識障害患者に対して意識レベルを改善するために行われている種々の刺激が,生体に対してどのような機序で意識レベルの改善に影響しているかについて健常人を対象に検討し,臨床における看護ケアの理論的な根拠を明らかにすることである。具体的には,種々の感覚刺激(痛覚刺激,聴覚刺激,芳香刺激など)の強度や体位の違いが意識レベルの変化とどのように関連しているかを生理的指標(意識レベル,脳波,自律神経活動)から検討することで,種々の看護援助技術の科学的な根拠が得られるものと期待される。 本年度は背面開放端座位に着目し,背面密着端座位と比較することで意識レベルにどのような影響を及ぼしているかを検討した。被験者は意識清明な21~22歳の成人女性6名で,評価指標として,脳波,心拍数,自律神経活動,意識レベルを用いた。意識レベルの測定にはBISモニタVista(日本光電;A-3000)を使用した。本機器は前額部に装着した電極から記録した脳波を分析処理することで,意識レベルをBIS値(Bispectral Index^<TM>)で表示される。同一被験者で安静仰臥位(5分),背面開放端座位(10分),安静仰臥位(10分)と姿勢を変えた時の生理的データを記録した。背面密着端座位と比較し,背面開放端座位では交感神経活動(LF/HF)および心拍数の有意な増加が認められた。安静仰臥位と比較し,座位姿勢(背面開放端座位,背面密着端座位)では脳の広範囲で覚醒時にみられるα波帯域およびβ波帯域の含有率の増加が認められた。特に,β波帯域の含有率が有意に増加し,大脳皮質が活性化していると考えられる。意識レベルの指標であるBIS値は,背面密着端座位では背面開放端座位と比較し,座位中においてもBIS値の減少が認められた。また,背面開放端座位においても座位姿勢を継続することでBIS値が減少することから,意識レベルの改善には背面開放端座位だけではなく,その他の看護援助技術の併用が必要であると考えられる。
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