2011 Fiscal Year Annual Research Report
看護師の身体診察技術を活用した災害時遺体対応能力の開発
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22659395
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Research Institution | Oita University of Nursing and Health Sciences |
Principal Investigator |
石田 佳代子 大分県立看護科学大学, 看護学部, 准教授 (90341239)
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Keywords | 看護学 / 医療 / 災害 / 救命 / 看護師 / 身体診察 / 遺体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、国内における災害現場でのトリアージによって、黒のトリアージタグ(黒タグ)を付された遺体に対する身体診察(死亡の再確認)およびタグへの所見などの記入を看護師が行うために必要な能力の開発について検討することである。 本年度は、黒タグ者(もしくは遺体)への対応に関する活動のあり方や、看護師に必要とされる具体的な能力とその向上に関する認識を明らかにするために、DMAT隊員の看護師1,023名を対象として、郵送による無記名自記式質問紙調査を行った。当該結果の概要は以下のとおりである。1.回収率は63.6%で、女性が482名(74.0%)、30歳代が328名(50.4%)、救急医療施設における勤務経験者が548名(84.2%)、災害現場への出動経験者が402名(61.8%)であった。2.黒タグ者への対応に関して、望ましい活動体制は「専任で、DMORTのようなチームが対応する」(62.1%)で、望ましい死亡確認の方法は「医師のみが死亡確認を行う」(42.5%)、「医師と看護師が共同で死亡確認を行う」(42.4%)であった。3.対応に伴うストレスが大きい状況の上位は「知人の遺体に対応する場合」、「多数の遺体に対応する場合」、「自分が遺体関連業務の未経験者・未訓練者である場合」で、ストレスの対処として役立つ方法の上位は「職務終了後、心身共に静養する」、「単独で対応することを避ける」、「同僚間で体験を話し合う」であった。4.対応にあたり必要な知識・技術で「不可欠」な上位は「トリアージの基本的な知識」、「生命徴候の把握技術」で、「あったほうが望ましい」の上位は「法医学の基本的な知識」、「NBC災害への対応に関する知識・技術」であった。5.知識・技術の向上に役立つ研修・訓練の上位は「遺族ケア」、「遺体の取り扱い」であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していた内容が、期間内に滞りなく完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成22・23年度に行った国内における調査結果を踏まえて、平成24年度は欧州を対象とした訪問調査を行い、国外の優れた災害医療教育、災害時医療体制を参考にして、わが国の状況に応じた活動や能力開発の在り方を考察する。
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