2011 Fiscal Year Annual Research Report
救急医療の社会的・倫理的問題への対応能力向上に向けた救急看護師教育システムの開発
Project/Area Number |
22659402
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
明石 惠子 名古屋市立大学, 看護学部, 教授 (20231805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼井 千津 愛知医科大学, 看護学部, 教授 (80223535)
前田 貴彦 三重県立看護大学, 看護学部, 講師 (60345981)
森木 ゆう子 大阪府立大学, 看護学部, 助教 (70374163)
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Keywords | 救急医療 / 救急看護師教育 / 社会的・倫理的問題 |
Research Abstract |
本研究の目的は、救急看護師の葛藤や疲弊をもたらすと考えられる救急医療の社会的問題とその要因を明らかにし、倫理を含めた社会的な視点から救急看護師の役割を提案し、看護師の倫理的対応能力を向上させるための教育システムを開発・評価することである。本年度末時点の研究成果は以下の通りである。 1.実態調査 まず、医療施設の救急看護部門責任者を対象とした調査から、社会的な問題や倫理的な問題、クレームへの患者・家族対応に苦慮している現実が明らかになった。一方、地方自治体消防本部の救急救命士を対象とした調査から、救急車の利用、患者受け入れ要請への対応、傷病者や家族の接遇への対応に苦慮していることが明らかになった。これらの結果より、救急看護師が社会的・倫理的問題に対処するためには、そのような問題の共有、救急隊や他の救急医療関連施設・行政機関等との連携方法、一般市民への情報提供などが必要であり、それらを念頭においた教育の必要性が示唆された。 また、現在、医療従事者(医師・看護師・救急救命士)および一般市民を対象とした地域の救急医療問題に関する面接調査を計画しており、さらに、社会的・倫理的問題への対応の現状を明らかにする予定である。 2.救急看護師教育システムの一部となり得る研究会の開催と評価 救急医療における社会的・倫理的問題を議論する場として"東海救急看護研究会"を2011年度に2回開催した。1回目は「自殺企図患者への対応」をテーマとした事例検討会を開催し、73名の参加を得た。2回目は「虐待が疑われる小児患者と家族への対応」をテーマとしたシンポジウムと事例検討会を開催し、46名の参加を得た。いずれも参加者の満足感が高く、特に、2回目の研究会では、看護師のみならず、医師、児童相談所職員、臨床心理士などの参加があり、多職種による連携が議論され、教育システム開発への手がかりを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述の実態調査のうち、医療従事者および一般市民に対する面接調査を23年度中に実施する予定であったが、その実施が遅れている。一方、年間3回の開催を予定していた"東海救急看護研究会"は2回であったが、シンポジウムによって内容が充実し、教育システムへの手がかりを得たことは評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
医療従事者および一般市民に対する面接調査を予定しているが、スノーサンプリング方式による研究参加者の選定に苦慮しているため、当初計画よりも研究参加者が限られるかもしれない。また、グループインタビューの予定であったが、研究参加者が限られる場合は、個人インタビューに変更する場合もあり得る。
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Research Products
(7 results)