2011 Fiscal Year Annual Research Report
NICUにおける騒音の周波数変化に対する早産児のストレス反応に関する研究
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22659417
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
清水 彩 神戸大学, 大学院・保健学研究科, 助教 (90552430)
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Keywords | 看護学 / 新生児 / 環境 / 音刺激 / ストレス反応 / 周波数 / 新生児行動評価 / ディベロップメンタルケア |
Research Abstract |
本年度は、本研究(1)新生児集中治療室(Neonatal Intensive Care Unit 以下、NICUとする)内の音の実態調査を実施し、本研究(2)NICU内の音と新生児の反応の関連する臨床研究を計画立案し、倫理審査申請まで行った。 1.本研究(1)NICU内の音の実態調査:サウンドレコーディング機能付高機能積分形騒音計(小野測器;LA-05560)による音の録音・ビデオ撮影(低照度撮影対応用)により、音圧レベル・周波数レベルと発生源を明らかにすることを目的とした。所属する大学の倫理審査委員会の承認を得て、大阪府下にある総合周産期母子医療センターNICUにて、研究調整を含め10日間にわたりトータル44場面(総合計録音時間は218分)の録音・撮影を行った(調査期間:2011年6月~2012年2月)。例えば、最も音圧レベルが高い定常音はDPAPモード時の呼吸器から発生しており(O.A.=77.650[dBPa])、ピーク周波数は6.5630[Hz]で音圧のピーク値は64.122[dBPa]であった。よって、生活音の周波数音域(0~5KHz)より高いレベルの音が発生していることが分かった。また、DPAPモードに伴う空気の流れによっても、高い音圧レベルの定常音が発生し(O.A.=67.861[dBPa])、ピーク周波数は0.5625[Hz]で音圧のピーク値は63.381[dBPa]であった。推奨される音圧レベル(45[dBPa])以上であるが、周波数レベルには差があることを確認でき意義があった。音測定の専門家に2回コンサルを受け、分析を取りまとめ、投稿準備をしている。 2.本研究(2)NICU内の音と新生児の反応の関連を見る臨床研究:本研究(1)の結果をふまえ、NICU内の音と新生児の反応の関連を見る臨床研究を計画し、倫理審査申請中である。承認され次第、調査を開始する。なお、本研究(2)に先駆け、新生児行動評価の信頼性を確保するため、NIDCAP(新生児行動評価のアセスメントプログラム)の講義を受講し、使用する撮影機器等も含め研究計画を検討した。本研究(2)で音の周波数レベルの違いから、早産児のストレス度が異なる臨床所見が明らかになることで、多岐にわたる分野から(吸音等を経て)減音する介入の検討を行い介入の可能性を得るベースとなるデータとして重要であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究(1)・(2)のうち、本研究(1)の結果まとめと本研究(2)の倫理審査申請を同時並行している段階にある。よって、交付申請書の計画に沿っておおむね順調に進展していると評価する。今後、本研究(1)の結果を演題・投稿の応募と本研究(2)が同時並行となるため、今後も進行が遅れることのないように計画的に進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
大きな変更点はない。本研究(2):NICU内の音と新生児の反応の関連を見る臨床研究の方法に一部変更がある。応募時には保育器内の音測定を騒音計は2台で計画していたが、予算をふまえて騒音計は1台購入することとした。そのため、騒音測定の専門家にも助言をいただき、マイクの設置場所を患児の左右の耳のそば2カ所にする案から、同距離で偏りがない位置1カ所に設置する案へ修正することで対応していくことにした。
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