2011 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児期における双子言葉(宇宙語)現象の発生予防とファミリーケアの研究
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22659428
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
早川 和生 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70142594)
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Keywords | 双子 / 乳幼児 / 宇宙語 / 言語獲得機序 / 言語発達 |
Research Abstract |
「人間の幼児は、どのようにして言語を獲得してゆくのか?」は、人間の発達を対象にする学術分野では非常に重要な課題であるが、未解明な問題が非常に多い。人間が乳幼児期の生後数年にしてこの高い言語能力を獲得することは、真に驚きである。双生児の場合、生まれてから常に一緒にいることから2人の間のみで通じる独自の言語(宇宙語)を作り上げてしまい日本語の習得に障害が生じることがある。この宇宙語現象は、人間の言語の成り立ちの原点とも考えられるが、この現象を学術的に研究した報告は海外でも見られない。宇宙語現象の解明は言語学的に学術上の大きなブレークスルーとなりうる貴重な現象であるとともに、双子育児上の解決すべき大きな社会問題となっています。本研究では宇宙語現象の発生機序の解明に努めるとともに、近年急増する双子出産家族における言語発達の遅れを予防するための育児指導指針を作成し、これら家族のファミリーケアの向上に努めた。 本年度の研究実施については昨年度に引き続き、かねてより調査協力を得ているツインマザースクラブ会員や双子の母親の相互互助組織の会員を対象に郵送質問紙調査を実施し、また昨年度までに実施した宇宙語に関するビデオ、テープレコーダーによる音声記録データのアナログデータをAD変換してデジタル情報とし、電算機により数理科学的にパターン分析した。ニューラルネットワーク理論解析を用いて宇宙語に内在する言語文法的規則性を抽出した。 また、本年度までに郵送質問紙調査で収集した各種調査データおよび家庭訪問インタビュー調査にて直接に面接調査した育児環境(母子の交流、家屋の部屋のレイアウト、家族構成、等)を総合的に数理解析し、宇宙語現象発生に関与する具体的な家庭環境要因を多変量解析による抽出を実施した。これら一連の解析結果から言葉の遅れに悩む双子家庭への育児指導指針の策定を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の実施には、双子を産み育てている母親の調査協力が非常に重要であるが、本研究ではかねてより協力を得ている全国最大規模の双子の母親互助組織であるツインマザースクラブの協力がスムーズに得られたことからおおむね順調に研究を実施することが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに収集した宇宙語現象の音声言語学的分析を更に詳細に進めると共に、音声言語データのみでなく近年の進歩改良が著しい脳イメージング分析のfMRI,EEG,MEG等による画像検査測定を実施し、これら画像データについてもSPM(Statistical Parametric Mapping)にて数理解析し、より多様な側面から宇宙語現象の解明と人間の乳幼児期における言語獲得機序について解明を進展させ、世界的にも極めて貴重な現象である宇宙語現象の解明を試みる研究推進方策を計画している。
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Research Products
(1 results)