2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22680006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中野 賢 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (70571173)
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Keywords | ネットワーク応用 / バイオICT / 分子通信 / 情報通信工学 / 情報システム |
Research Abstract |
本研究では,情報通信・バイオサイエンス・ナノテクノロジーの3分野を融合する「分子通信」という新しい情報通信パラダイムに関する研究を行う.分子通信とは,生体内における細胞間通信を模倣した生体分子や生化学反応に基づく通信技術であり,生体親和性を有する新しい通信システムの開発に利用できると期待されている.例えば,体内埋め込み型バイオデバイスを有機的に連携し,自立的なバイオセンサネットワークを構築するなど,分子通信は将来のバイオICT技術のキーテクノロジーを担う可能性をもつ.本研究では,4年間の研究期間を通して,(1)通信構成要素の設計と試作、(2)構成要素を統合するシステム化技術の検討、(3)工学的応用の考察を行う. 本研究課題初年度は,(1)通信構成要素の設計と試作に取組み,分子信号を増幅できる分子増幅機を開発した.分子の伝播増幅モデルを開発し,シミュレーション実験により分子の伝播距離を最大化する条件を同定した.また,遺伝子改変した上皮性細胞を利用して分子信号の伝播増幅機能を実験的に示した.更に,当該研究分野および関連研究分野について幅広く調査し,サーベイ論文を執筆した.以上の研究成果をまとめた論文はIEEE Transactions on Systems,Man,and CyberneticsやIEEE Transactions on Nanobioscienceなど,国際トップジャーナルに掲載された.また,情報通信分野の主要国際会議(INFOCOM)に併設のワークショップにおいてもその成果を発表した.次年度はより汎用的な分子通信デバイスの設計・試作に取組むとともに,構成要素を統合するシステム化技術,および,分子通信技術の工学的応用を検討していく予定である.
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Research Products
(10 results)